研究課題/領域番号 |
26870655
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小方 浩明 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (30454086)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 方向統計学 / 時系列解析 |
研究実績の概要 |
継続して行われていた、周期定常マルコフ過程における周期自己相関関数の研究は、平成28年度中に学術雑誌に投稿され、レフェリーからのコメントをもとにリバイズを行い、無事掲載されたことをもって完了した。 方向統計学のトピックにおいては、上記周期定常マルコフ過程の拡張版を考察した。具体的には、過去のデータを与えた上での現時点の条件付確率分布が、1時点前のみならず、複数時点前までのデータに依存するという意味での、周期定常“マルチオーダー”マルコフ過程の導出を試みた。周期定常マルコフ過程の導出はコピュラと非常に関連があることに注目し、ペアワイズコピュラの方法を応用することによってマルチオーダーマルコフ過程を構成することを提案した。シミュレーションにより周期定常セカンドオーダーマルコフ過程を生成し、周期自己相関関数を計算することによって生成された過程の特徴を見た。また実際の風向データに対して周期定常セカンドオーダーマルコフ過程を最尤推定法によりフィッティングし、1時間間隔データよりも15分間隔データの方が周期自己相関が低い傾向にあることが確認できた。1時間間隔データの方が隣接するデータの間隔が広いため、これは非常に自然な結果であり、モデルフィッティングがうまく働いていることを示唆している。 また時系列解析における多次元スペクトル密度関数を利用し、多次元周期密度関数を一般的な形で提案する研究も開始した(共同研究)。ARMA(1,1)モデルなどの具体的な時系列モデルのスペクトル密度関数から導出される周期密度関数に実用的なメリットがあるのかどうかを探ることを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術雑誌に投稿するだけとなっていた研究は無事に掲載が決まり、新たな研究もスタートすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
周期定常マルチオーダーマルコフ過程の研究に関しては、すぐにでも論文の形にまとめ、学術雑誌に投稿する。また時系列解析における多次元スペクトル密度関数からの周期密度関数の導出に関する研究については、今後も共同研究者たちと密に連絡を取り合い、できるだけ早く論文を作成したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠方での会議が少なく、書籍等の購入も予想より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
遠方での会議や論文投稿料、書籍やPCなどの機器の購入に充てたい。
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