最終年度では、方向統計学のトピックにおいて、ミクスチュアートランジションデンシティーを利用して定義した周期定常マルチオーダーマルコフ過程に関する研究を様々な場所で発表し、周知に努めた。共同研究者とは連絡を取り合い、論文投稿へ向けてのドラフトは出来上がっている。また時系列解析における多次元スペクトル密度関数を利用し、多次元周期密度関数を一般的な形で提案する研究においては、論文が完成し、雑誌に投稿した。現在は査読中である。 研究期間全体においては、裾の重い分布である多次元アルファ安定分布において、テイルインデックス並びにスペクトル測度の推定量を提案する研究を行い、論文が雑誌に掲載された。また方向統計学における、既知の方向周りでの対蹠対称性に関する漸近最適推測論に関する研究を行った。これは円周上の密度関数に二つのピークがあるとき、それらが対象であるか否かの最適な検定および推測問題を、局所漸近正規性の観点から述べたものである。現在は論文作成段階である。また周期定常マルコフ過程における周期自己相関関数における研究では、k次の周期自己相関関数を陽な形で表現することに成功し、その自然な推定量であるk次の標本周期自己相関係数の漸近正規性も示した。本研究は論文が雑誌に掲載された。また周期定常マルコフ過程を特徴づける関数が外生変数に依存するようなモデルを提案した。具体的には、風速、風向データのモデリングを想定しており、前時点を所与としたときの現時点の風向データの条件付密度関数が風速に依存しているようなモデルである。本研究は継続中である。
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