研究課題/領域番号 |
26870665
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 武則 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (40638904)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯周炎 / バイオフィルム / A.naeslundii / 線毛 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
歯周炎の原因は、多種類の口腔細菌が形成するバイオフィルムである。バイオフィルムは初期定着細菌である Actinomyces naeslundii などのグラム陽性菌が、まずペリクルや上皮細胞に定着することで形成が開始され、その後、時間経過とともに歯周病原細菌と共凝集することで成熟し、歯肉の炎症や歯槽骨吸収が誘導される要因となる。線毛は、歯肉上皮細胞や歯面およびペリクルへの付着因子で、バイオフィルム形成や歯槽骨吸収にも関与する重要な病原因子であると考えられている。そこで本研究は、初期定着細菌でバイオフィルムの中核を担うA. naeslundiiの線毛におけるバイオフィルム形成機能と歯槽骨吸収能について、遺伝子工学的手法や動物実験モデルを用いて明らかにすることとした。平成26年度は、A. naeslundii 菌体よりDNAを抽出した後、線毛をコードしている遺伝子を不活化させた線毛遺伝子変異株作製のための遺伝子クローニング操作を行った。現在、その解析をウェスタンブロッティング法や菌体の電子顕微鏡鏡観察により確認中である。また本研究課題と関連して、バイオフィルム形成阻害による歯周病予防法の確立を目的とした研究を同時並行で進め、その成果を国内外の学会で発表し、論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線毛遺伝子変異株の作製について、いくつかの遺伝子工学的解析手法を試行したため、その解析にやや時間がかかったが、当初の研究計画を十分に達成したので、おおむね順調に進呈していると評した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前年に引き続いて、A. naeslundii 線毛遺伝子変異株の評価を行ない、その後、本菌の線毛機能と歯槽骨吸収誘導能について、他細菌種を加えた培養実験や動物実験で解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進行に合わせて必要に応じて研究費を執行した結果、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、立案した計画どおりに実験を進めていく。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に引き続き、線毛遺伝子変異株の作製を続ける必要性があるため、分子生物学的解析用の試薬類やプラスチック製器具、細菌培養用培地などの消耗品を計上する。本年は最終年度であるため、線毛遺伝子変異株の作製が完了後、ただちに当初の計画通りに他細菌種を加えた培養実験や動物実験を行なうため、動物実験に用いる実験動物や試薬類、歯槽骨吸収量の計測に用いる器材ならびに病理組織学的解析に用いる試薬を購入する。なお得られた研究成果はまとめて学会発表により報告予定である。
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