研究代表者は歯根の形態を決定する主働遺伝子を特定することを目的に、以下の方法を用いてin situ hybridizationを行い、遺伝子の発現解析を行った。実験を行うに当たり、鶴見大学動物実験委員会の承認を得ている。 [材料と方法] 実験には、癒合歯根(樋状根)を有するC57L/J系統のmiceと、正常な歯根を有するC57BL/6J系統のmiceを使用した。2系統のmiceをそれぞれ生後10日齢、11日齢、12日齢にて安楽死させ下顎骨を採取した。採取した 下顎骨は、ホルムアルデヒド溶液で固定したのちにEDTA溶液にて脱灰し、パラフィンに包埋した。パラフィン包埋されたブロックを、第二臼歯相当部で前頭断にて厚さ4μmで薄切した。その後、歯根分岐部を薄切したパラフィン切片を選び出し、通法に従いin situ hybridizationを行い、遺伝子の発現を解析した。 発現を解析した遺伝子は、過去に歯の形成に密接な関係を報告され、量的連鎖解析、ならびにgene chipによる遺伝子の網羅的発現解析にて樋状根との関係が示唆されているsonic hedgehog signaling pathwayに属する4遺伝子、sonic hedgehog(SHH)、Patched 1(Ptc1)、smoothened homolog(SMO)、GLI-Kruppel family member 1(Gli1)である。 [結果] SHH、Ptc1、Gli1の発現は、C57L/J系統のmiceとC57BL/6J系統のmiceとの間で発現に差異が認められた。SMOの発現の差異は現在解析中である。
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