研究実績の概要 |
外傷危険動作の抽出や,競技中の負荷量を定量化するために,バドミントン競技を例に競技中の体幹加速度を計測し,その間の高加速度動作を集計,特定し,その有用性を検討することを本年度の目的とした. 健常女子大学生バドミントン選手2名を対象とした.対象者は加速度センサを設置した状態でバドミントン練習ゲームを15分間行い,その間の加速度計測を行った.計測された3軸加速度データから合成加速度を求め,合成加速度が4G以上となった回数,頻度(回/分/人),および対象者毎の最大合成加速度を求めた.また,抽出された場面の合成加速度,および体幹内側,上方,後方加速度の平均値,標準偏差を算出した. 合成加速度が4G以上となった場面は計63回みられ,頻度としては2.1回/分/人であった.その内,対象者Aが56回,対象者Bが7回であった.63回の平均合成加速度は4.82±0.88G(平均値±標準偏差)であり,各方向への加速度は内方(支持脚内側方向)加速度0.78±0.93G,上方加速度3.46±1.42G,後方加速度2.48±1.58Gであった.プレー場面は,スプリットステップが25.4%(16件)と最も多く,次いで切り返し動作(9件, 14.3%,),バックステップ(8件, 12.7%),スプリットステップ予備動作(6件, 9.5%),着地(フォアオーバーハンド)( 6件, 9.5%),踏み込み(アンダーハンド) (5 件, 8.0%),ストップ(5 件, 8.0%)であった. 本結果より,一定以上の体幹加速度がかかった動作を抽出することで,前十字靭帯損傷危険動作を含む動作が抽出された.体幹加速度を用いた競技中にかかる負荷量の定量化や外傷・障害との関係に関しては,今後の検討が必要であると示唆された. 以上の研究手法を基に,バドミントン選手8名,バスケットボール選手10名,サッカー選手2名の計測を行った.
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