研究課題/領域番号 |
26870673
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
東海林 渉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (00720004)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 夫婦システム / 食事療法 / カップル・セラピー / 性別役割分業 / エンパワーメント / チーム医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,食習慣の改善を求められた夫婦に生じるシステムの動きを解明し,2型糖尿病の病状悪化を予防するための心理的支援方法を提案することであった。今年度は当該目的の達成のために以下の成果を得た。 《成果1》夫婦が糖尿病の食事療法において陥りやすい問題点を整理するため,健康カウンセリングおよびカップル・セラピーに関する文献の整理・検討を行った。また,筆者が過去に実施したインターネット調査のデータを再分析し,食事療法に関する夫婦の問題を性別役割の観点から検討した。その結果,夫婦が陥りやすい問題として,①変化を引き受けることに関する態度の乖離,②食事療法の責任の所在をめぐる問題,③食事ルールの不明瞭さ,④閉じられたコミュニケーションなどがあった。加えて,家事をめぐる性別役割の影響から,女性患者でパートナーからの支援不足が問題になりがちであることが示された。 《成果2》成果1で示された問題を解決するための方法論的工夫を考察するため,国際会議への参加や海外の糖尿病療養指導士(CDE)との情報交換を行った。その結果,方法論的な工夫として,①患者教育において患者のエンパワーメントに加えて夫婦や家族のエンパワーメントの視点を取り入れること,②患者を取り囲むチーム医療から,patient-centeredなチーム医療へ,さらにはpatient- and family-centeredなチーム医療へ移行し,多様な職種が総合的に連携していくこと,③糖尿病の問題に対処する(coping)アプローチを超えて,糖尿病の価値を創造していく(flourishing)アプローチを目指すことなどが考えられた。 《成果3》成果1および成果2の知見の社会的発信として,国内学会での発表や糖尿病専門誌への投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,①食習慣の改善を求められた夫婦に生じるシステムの動きの解明と,②2型糖尿病の病状悪化を予防するための心理的支援方法の提案の2つで構成されている。 ①について,当初計画していた継時的面接調査については,対象者のリクルートが困難と判断し研究計画を変更した。変更後は,回顧的面接調査および複線経路・等至性モデルによる分析によって代替することとした。現在,調査研究を進めている段階である。 ②については,文献レビューや学会での専門家間の情報収集により,支援ツールの作成に向けた方向性が定まってきた。 ①システム変化過程の解明については研究計画の変更によりやや遅れているが,②の心理的支援方法の提案については順調に進んでいる。区分としては,調査研究での遅れを鑑みて,「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,①食習慣の改善を求められた夫婦に生じるシステムの動きの解明と,②2型糖尿病の病状悪化を予防するための心理的支援方法の提案の2つで構成されている。 ①について当初の研究計画を変更し,回顧的面接調査および複線経路・等至性モデルによる分析によって代替することとした。今後は,対象者に複数回の面接調査を実施していく予定である。 ②ついては,今年度までの成果を踏まえて,現在カップル・セラピーで用いられている技法やツールを整理し,糖尿病の食事療法で用いることが可能なものを精査していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として残った870円は,物品購入の際のディスカウント等による余剰である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分の物品費に合算して,文具等の購入費として使用する計画である。
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