研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護職を対象とした承認(ほめる)力量の形成を促進する教育モデルの開発である。健康課題を持つ対象者の支援において、承認や賞賛のコミュニケーションを適切に用いることは、療養意欲を高め行動変容への動機付けを支援する上で必要とされる力量である。自己効力感(Bandura,A)の情報源のひとつである「言語的説得」や、変化のステージモデル(Prochaska)おける強化マネジメントの実践に必要なスキルである。本研究ではこのスキル向上に焦点を当て看護職向けの教育(研修)モデルを作成した。開発にあたっては創造工学の専門家、フィンランド認定ソーシャルワーカーから専門的知識の提供を受け、プログラムテキストと教材3セットを作成した。最終年度には研究期間に作成したプログラムの成果を広く公表するため、頒布用テキストの印刷製本を行った。今後はこのテキストと副教材を元に、プログラムを活用した研修を主催・受託しフィードバックを得る計画である。現職保健師を対象とした研修会を実施する他、保健師養成課程の授業演習において積極的に活用する。また、看護専門職以外の小中学校教員や企業からの出講依頼もあり本研究によって得られた知見・成果物を活用して応じる。モチベーションを引き出すためのスキル向上は、看護分野のみならず、教育、企業においてニーズが高い。近年は組織におけるメンタルヘルス対策上、目指すべきテーマとしてワークエンゲイジメントの実現が求められており、その根幹を為すモチベーションを高めるアプローチに関心が寄せられていると考える。学会発表・論文による知見の公表を今後も継続し議論を深める。また、対象を看護系分野に限らず社会学・心理学・教育学分野の研究者らと連携し、幅広い対象への活用可能性を多角的に検討しながらプログラムの発展をめざしたいと考える。
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