研究課題/領域番号 |
26870676
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
古澤 文 奈良女子大学, 共生科学研究センター, 協力研究員 (50634812)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新疆ウイグル自治区 / 施設栽培 / 乾燥地域農業 |
研究実績の概要 |
新疆ウイグル自治区(以下新疆)で施設栽培がひろく普及し始めてから約10数年が経過した現在、これまでの調査結果をもとに、その市場と生産地、立地特徴を整理し、現状についてまとめた。 施設栽培で生産された農産物の市場は、主に新疆内、新疆外(中国国内)、国外の3つにわけられる。新疆内の市場は主に各オアシスの中心都市で、その生産地は都市近郊農村に位置する。新疆外(中国国内市場)は、主に東部沿岸地域の北京、上海などを中心とした大都市で、新疆の特産である果物を温室で促成・抑制栽培し、端境期に出荷している。中国国外市場は中央アジア諸国である。特に隣接するカザフスタンへの冬季生鮮野菜需要は増加しており、輸出拡大が期待できるとして、国境地帯に輸出用の生産地が形成されている。 施設栽培には規模化(基地化)、都市近郊農村での栽培という立地特徴があげられるが、近年では遠郊化という変化がみられる。規模化(基地化)とは、生産の効率化、出荷の量的安定を図るため、温室を集約させ規模を拡大した生産基地建設推進のことである。またこうした生産基地は消費される都市部との近接性、輸送の利便性から都市周辺の近郊農村に発展してきた。しかし、都市人口増加により都市域は拡大しており、2000年以降に撮影された衛星画像の判読によれば、耕地や施設栽培基地であった場所に宅地や市街地、工場、幹線道路の建設が確認された。このような変化を受け、施設栽培基地の遠郊化が近年みられ、従来のオアシスからゴビ地域へ施設栽培基地が広がってきている。こうした動きは政府からの補助金を受け、南新疆で広がりを見せている。 以上の結果について、学会報告を1回実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体調不良(妊娠)により、衛星画像の判読と分析が計画どおり行えず、またそれに伴い、判読結果のグランドトゥルースおよび現状把握のための現地調査を見送ったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は出産・育児が控えているため、産休・育休の取得に伴う補助事業期間延長承認を申請のうえ、研究の再開は平成30年度を予定している。復職とともに衛星画像の判読と現地調査を実施し、研究目的の達成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良により、画像の判読と分析とそれに伴う現地調査を見送ったため、未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
育児休業からの復職後、現地調査、衛星画像判読を行い、予算執行する予定である。
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