近年、海馬に内在する成体神経幹細胞の認知機能の形成における役割が注目されている。本研究では、我々の開発したDGCR8遺伝子ヘテロ欠損型統合失調症モデルマウスを用いて、成体神経幹細胞の恒常性維持機構、認知機能形成およびその障害における役割をエピジェネティック制御の観点から明らかにすることを目的とした。その結果、成体神経幹細胞の自己分泌型増殖因子であるIGF2遺伝子の発現制御領域に、DNAメチル化異常が認められ、その発現が低下していた。このことから、海馬に内在する成体神経幹細胞はエピジェネティックな分子機構による制御を受けており、認知機能形成および統合失調症の発症に関与している可能性が示唆された。
|