研究課題/領域番号 |
26870684
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
板井 陽俊 中部大学, 工学部, 講師 (10551971)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SSVEP / 内発的注意 / BCI |
研究実績の概要 |
定常的視覚誘発電位(SSVEP: Steady State Visually Evoked Potential)は周期的に点滅する視覚刺激注視時に誘発される脳波であり、刺激の点滅周波数とその高調波成分を有することから、Brain Computer Interface (BCI)への応用が盛んに行われている。SSVEPについては点滅刺激に注意を向けると増大するなど、内発的注意との関係が明らかになっている。しかし、SSVEPが増大する注意の空間的範囲や、フリッカ刺激注視時の周囲変化への反応に関する検討は少ない。本年度はSSVEPにおける(1)瞬目などにより振幅量が変化する原因の特定、(2)注意が有効となる空間的範囲を推定、について研究を行った。 (1)についてはEye-see camとEmotiv EPOCを用いた眼球運動と脳波の同時計測を試みたが、機器の物理的干渉により良好な計測結果を得ることができないことが判明したため、他の機器を用いた同時計測機器を開発中である。 (2)については刺激の提示位置とSSVEPの誘発量に有意な関係があり、注視点から刺激までの距離に依存することが明らかとなった。さらに実際のBCI利用時を想定した動く視覚刺激においても同様の傾向があることを示した。また、実験遂行時に複数の点滅刺激を組み合わせ作成された合成刺激により誘発されるSSVEPが従来報告にはない周波数に現れることを発見した。さらにこの現象について追加実験を行い、合成刺激とSSVEPが誘発される周波数の関係について新たな知見を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜像とSSVEP誘発特性解析については、新たな計測機器の開発が必要となったため予定通りに進んでいない。しかし、注意の有効範囲特定について、移動する刺激に対する有効範囲、合成刺激の問題など研究計画外の問題を発見し、かつそれらに対して研究成果を得ることができたため(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
設置型の眼球計測装置を導入することにより眼球運動と脳波を同時計測を困難としていた問題を解決する。その上で改めて網膜像とSSVEPの誘発特性解析を行う予定である。平成27年度の課題である視覚刺激注視時の周辺状況の変化に対する反応時間解析については、計画通り実行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳波計購入費が計画より高額となったが、専門的な議論が可能な国際会議が日本国内にて開催され、発表したことにより旅費が当初計画より抑えられた。また、英文修正サービスを利用せず英文原稿が採択されたため、その費用も抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度分の余剰金は平成27年度の旅費、および平成26年度に挙げられた課題を解決するため設置型眼球計測装置の導入に充てる予定である。
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