本研究では、脳コンピュータインタフェース(BCI; Brain Computer Interface)への意思伝達手段として利用される定常的視覚誘発電位(SSVEP; Steady-State Visually Evoked Potentials)について、周辺状況の把握とSSVEP誘発が可能なBCIの構築を行うための指標を作成するため、様々な面から誘発特性を求めることを目的としている。SSVEPは内発的な注意と関連があることから、点滅刺激に注意を向けると増大するなどの特性がある。本年度は、(1)SSVEPが誘発される空間的範囲計測器作成とその解析、(2)SSVEPが誘発されやすい、されにくい被験者の違いを眼球運動の面から検証するシステムの開発について研究を行った。 (1)として、地面と水平方向、鉛直方向、斜め方向点滅刺激を配置し、被験者正面60cmの距離にある固視点から点滅刺激までの角度を変化させSSVEP誘発量の計測を行った。その結果、どの方向の点滅刺激に注意を向けた場合においても、SSVEP誘発量は概ね固視点と点滅刺激までの距離に依存することを明らかにした。特に固視点から5度以上の位置に点滅刺激が配置されると、著しく誘発量が減衰することを示した。さらに、奥行き方向の固視点と点滅刺激の距離とSSVEP誘発量との関連を計測するシステムの試作を重ね、実施計画より大幅に変更したシステムを作成した。 (2)については、昨年度の課題であった眼球運動計測系と脳波計の干渉を解消し、両者の同時計測を実現した。
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