研究課題/領域番号 |
26870701
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
齊藤 洋平 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90411032)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍マーカー / Hsp105 / Hsp70 |
研究実績の概要 |
これまでに肺がん組織において、Hsp105αが核内に高発現するという予備的なデータを得ている。本年度は、種々のがん組織におけるHsp105αの核内発現について解析を行った。肺や大腸など12種類の腫瘍組織とそれに隣接した正常組織におけるHsp105の発現を抗Hsp105抗体を用いた免疫染色法により調べた結果、肺、皮膚、食道などの扁平上皮がん組織において、Hsp105の核内発現が観察された。一方、これまでにHsp105の高発現が報告されている大腸がんや肝がんでは、Hsp105が高発現していたものの明確な核内発現は認められず、Hsp105の核内発現が腫瘍組織特異的であることが示唆された。また、昨年度までに樹立したHsp105ノックダウン株について解析し、Hsp105α発現抑制による抗がん剤感受性の増加やDNA傷害性抗がん剤によるHsp105αの核局在化を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍組織におけるHsp105の核内発現の意義の一つとして、Hsp105によるHsp70発現誘導に着目し、検討してきた。核内に発現するHsp105結合タンパク質として同定した急性骨髄性白血病原因遺伝子の転座パートナータンパク質や核内低分子リボ核タンパク質がHsp70発現亢進に寄与することを明らかにし、論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍組織におけるHsp105の核内発現の意義の解析については、核内発現型Hsp105発現細胞を作製して培養細胞および個体レベルで検討する予定でいたが細胞株の樹立に至っていない。今後は、既に樹立しているHsp105ノックダウン株を使用して検討する予定でいる。これまでにHsp105α発現抑制による抗がん剤感受性の増加、サイトカインシグナル伝達系転写因子や低酸素応答因子の機能低下がわかってきたので、これらメカニズムを明らかにする研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当面必要な物品を購入できていたため未使用額として4,011円生じたが、次年度の試薬購入費とする。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養関連試薬等の購入に充てる。
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