研究実績の概要 |
本年度は、世界的な国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレンのスウェーデン支部が刊行した子どもの性的虐待加害者の治療に関する著書(Anders Nyman, Olof Risberg, and Borje Svensson, Young Offenders: Sexual Abuse and Treatment, Save the Children Sweden, 2001)の翻訳作業を中心に行った。翻訳に関連して、10月にスウェーデンに赴き同書の著者らと意見交換を行い、本研究の研究手法やアプローチに関する助言を得た。翻訳した本は平成27年度中に刊行予定である。 その他の研究活動としては、ヨーロッパ全体における子どもへの性的虐待問題への取り組みの変遷を明らかにするため、2007年に欧州評議会が採択した性的搾取及び性的虐待子ども保護条約の成立背景、及び条約の内容に関する検討作業を開始した。本研究では、同条約のなかでもとりわけ、第6条に定められている性的虐待防止のための子どもを対象とした教育や情報提供の重要性に着目している。本年度は、教育や情報提供を実際に行うに際して、社会の多様性が政策的にどのように位置づけられてきたのか、すなわち児童虐待防止政策における移民家庭やその子どもへのアプローチはいかなるものであったのかを詳細に明らかにすることを目指したが、本年度中に聞き取り調査を実施することができなかったため、この点については来年度以降に検討を進める。
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