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2018 年度 実績報告書

ヨーロッパの多文化社会における子どもへの性的虐待防止に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26870705
研究機関長崎大学

研究代表者

見原 礼子  長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (70580786)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードヨーロッパ / 移民・難民 / 性的虐待防止 / セクシュアリティ
研究実績の概要

ヨーロッパでは近年、子どもに対する性的虐待の暴力性が改めて認識され、性的虐待防止を目的とした様々な教育プログラムが進められている。だが、多文化社会の中で、その内容をいかに子どもの文化的・宗教的多様性に配慮したものとするかは重要な課題であるにもかかわらず、未だ研究が進んでいない。本研究は、この点を複数のヨーロッパ諸国の経験と課題から解明するため、特にこれらの国の移民家庭とその子どもを対象として、かれらの視点から性的虐待・暴力の問題を捉えることを目的としたものであった。
最終年度は、これまで実施してきた調査の振り返りをしたうえで、改めて性的虐待を含む「子ども虐待」を社会問題の構築という点から捉えなおし、この課題を多文化社会の移民コミュニティにおいて明らかにしようとすることの難しさを確認した。とりわけ重要な問題として浮上したのが、移民たちの文化圏や宗教コミュニティ内における調査において、性的虐待や暴力問題の捉え方について問うこと自体の是非である。近年のポピュリスト台頭による移民排斥の言説によって、移民のコミュニティにとっては、このような問いかけが「他者」からなされることもまた、自らのコミュニティの排除や差別を正当化するものになりかねないという懸念が示される場面があった。最終的には研究者がフィールドにおいて培ってきた信頼関係のもとで、本研究の目的がインフォーマントに理解され、実りある調査が可能となったものの、本研究を通じて明らかになったこれらの諸点は、性的虐待や性暴力という問題、あるいはそれらを防止するという活動をめぐるポリティクスを再認識する重要な契機となった。この点もまた、本研究を通じて明らかにしえた意義として捉えることが可能だろう。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Universite catholique de Louvain(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      Universite catholique de Louvain
  • [雑誌論文] 「「子ども虐待」の構築主義的研究を再考する―到達点、そしてその先へ」2019

    • 著者名/発表者名
      見原礼子
    • 雑誌名

      『多文化社会研究』

      巻: Vol.5 ページ: 333-352

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「二国間比較研究の方法論的再考と現代的意義: ヨーロッパにおける公教育制度の批判的問い直しのために」2018

    • 著者名/発表者名
      見原礼子
    • 雑誌名

      『比較教育学研究』

      巻: 57号 ページ: 51-72

  • [学会発表] 「パネルディスカッション「外国人との多文化共生」」2019

    • 著者名/発表者名
      見原礼子
    • 学会等名
      シンポジウム「SDGsを語り合う~持続可能な社会を目指して~」
    • 招待講演
  • [学会発表] “Progress towards Prohibition of Corporal Punishment against Children in Japan: Current Debates and Future Prospects”2019

    • 著者名/発表者名
      Mihara, Reiko
    • 学会等名
      Nagasaki University WISE Programme Kick-off Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「ブリュッセルにおける社会融和に向けたモスクの試みと期待――モランベーク地区を事例に」2018

    • 著者名/発表者名
      見原礼子
    • 学会等名
      ベルギー研究会

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公開日: 2019-12-27  

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