本研究は、ヨーロッパ諸国が子どもへの性的虐待を防止するための教育プログラムを開発・実施するにあたり、子どもの文化的・宗教的多様性がいかに考慮されてきたのかを考察し、今後の課題を明らかにすることを目的とした。 詳細な事例研究としてはオランダの事例を扱った。事例研究の結果、政策としては教育プログラムの実施において子どもの文化的・宗教的背景への考慮の必要性が確認されていた一方、「考慮」が何を意味するのかについては曖昧なままであった。移民を対象とした調査から明らかになったのは、自主的な教育教材作成の動きである。これらは「考慮」のありかたを展望するにあたって有効な視座の一つとなりうるだろう。
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