本研究の目的は,難病当事者を対象とした個人的な生活の質(iQOL)調査から難病当事者のiQOLを明らかにし,iQOL概念を再考することであった。iQOL概念を再考するために,質的研究法に基づく方法論的検討を行った。 これらの研究成果から,難病当事者のiQOLは,患者としてのQOLではなく,病いを抱える生活者として構成されていた。したがって,QOL向上に向けた支援は医療空間と生活空間の双方を包括的に検討しなければならない。さらに難病当事者のiQOLを調査することは,難病当事者のライフ(生命・生活・人生)に迫る試みであり,また調査者が当事者のライフに参入するプロセスでもあることが分かった。
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