研究課題
本研究はその端緒となった 松林靏之助が1918年に著した『石川県陶業地方見学記』(以下、『見学記』)に記録された大正期の石川県の陶磁器業に関する調査研究を目的としている。2015年度の成果としては、(1)近代陶磁器資料データベースを用いた研究資料の公開・発信、(2)石川県内の窯元での聞き取り調査、及び資料調査、(3)最終年度としての研究成果のまとめ、である。近代陶磁器資料データベースは2012年度から運用をしていたシステムを元にしていた。今年度はシステムを再構築し、より検索しやすくセキュリティーの高いデータベースを実現し公開した。また、2015年は九谷焼開窯360年という節目の年であるため、Google Cultural Instituteで世界に向けて九谷焼を紹介するテーマサイトを構築した。8月には昨年度からの予定通り、近代の九谷焼を代表する窯元として知られ『見学記』にも登場する「北出窯」の再調査を行った。『見学記』に記載されている内容の確認を行うとともに、普段は立ち入りを許されない登り窯・工房の撮影も行なうことができた。北出窯は「色絵磁器」で第1回の重要無形文化財保持者に認定された富本憲吉(1886-1963)が色絵の技術を学んだことで知られている。2015年8月に2日間をかけて、北出家に残る富本関連の資料調査を行った。また、小松市立博物館に所蔵される富本憲吉旧蔵の可能性があるスケッチブックの調査を行った。2016年度には本研究の成果の一部を含む 森野彰人、前崎信也編『富本憲吉著 我が陶器造り』(里文出版)の出版が決定している。本年は研究の最終年度であったが、残念ながら当初予定していた『見学記』の出版には至らなかった。しかし、今後も出版に向けて活動を続けていく。また、本研究の成果は2016年度に近代国際陶磁研究会、及び意匠学会で発表を予定している。
近現代陶磁器資料データベースは本研究の主要な資料である 松林靏之助『石川県陶業地方見学記』を収録している。Google Cultural Institute「Made in Japan:日本の匠」では、海外に九谷焼を発信することを目的に、紹介サイトを制作した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Ceramics, Art, and Cultural Production in Modern Japan
巻: - ページ: 未定 全11頁
『生活造形』
巻: 61 ページ: 54-59
鹿島美術財団編 『鹿島美術研究:年報第32号別冊』
巻: 32 ページ: 415-425
日本色彩学会誌 SUPPLEMENT(2015)日本色彩学会第46回全国大会[米沢]'15 発表論文集
巻: 39-5 ページ: 122-123
Andon
巻: 99 ページ: 33-41
http://www.dh-jac.net/db1/mjci/index.php
https://www.google.com/culturalinstitute/project/made-in-japan