本研究開発品の基本動作を確認するための比較的簡素で確立の容易な動物埋植モデルとして頸動脈を本装置に内挿した人工血管で置換するモデルを平成26年度まで用いていたが、平成27年度では本装置が実際の臨床で応用される対象であるBlalock-Taussigシャント手術(チアノーゼ性先天性心疾患に対して胸腔内で鎖骨下動脈‐肺動脈間を人工血管で接続する姑息手術)のモデル作成(ビーグル犬)に変更し、確立させた。本装置の動作の確認のため、シャント人工血管(径5mm)に圧‐流速同時測定カテーテルワイヤーを挿入し、装置バルーンへの生理的食塩水の注入と排出による圧力と血流量の変化を測定した。本装置埋植時の動作を確認した後に、径3.5mmの人工血管の場合の血流量に相当する生理食塩水を注入維持し動物を生存させた。しかしながら、本装置埋植3か月後における動作確認実験を計画していたが、術後1~2か月で実験動物を失う状態に至った。本装置円筒バルーンからの液漏れによると考えられるバルーン虚脱から高肺血流からの心不全死と判断し、バルーン設計と材料の再検討を行い、バルーン材料であるポリウレタンからの透水であることが判明した。現在材料としてのポリウレタンの調整またはコーティング、バルーン充満を生理的食塩水から油剤に変更する検討を加え、バルーンの長期充満が得られる条件抽出と本装置の改良を行っている。よって本研究の目的の一つである“長期間にわたる本装置の動作の確認”の終了が研究期間内では間に合わなかった。今後も研究費を獲得し動物埋植試験による残る課題の証明を継続する計画である。
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