生活支援ロボットは単に性能が良いだけでは一般ユーザに受け入れられない.本研究の目的は,恐怖感をユーザに与えない,親しみやすいロボットの開発である.このようなロボットが開発されると,病院等へのロボットの普及が急速に高まる効果が期待される.そこで,下記2点を行う. (1)生活支援ロボットが人間に接近してくる際にその状態を提示する小型のコミュニケーションロボットの開発 (2)開発したロボットを実装し,生活支援ロボットが人間に接近してくる際に人間が受ける恐怖感を低減する手法を開発する 最終年度は,(I)「(2)開発したロボットを実装し,生活支援ロボットが人間に接近してくる際に人間が受ける恐怖感を低減する手法を開発する」を主として行った.前年度までに,小型のコミュニケーションロボット(ロボットアバタ)の大きさ,色について拡張現実感を用いて評価した.結果として,体の色は黒,目の色は黄色が好まれた.また,3種類の大きさの中で一番小さなサイズのロボットアバタが好まれた.この結果を基に,ロボットアバタを製作した.次に人間の恐怖感を低減する手法としてロボットアバタを用いて動作予告をすることを提案した.これについてもまず,拡張現実感で評価した.その結果,ロボットが接近してくる際は,ロボットアバタが正面を向いていることが望ましいことが明らかになった.次に実機で4種類の動作予告について検証した.結果として,人の顔の方を常に向く制御が好まれる傾向にあったが,確証を得ることはできなかった.ただし,動作予告をするためにはユーザとの間に十分な距離を設ければよいという指針は明らかにした.最後にこのロボットアバタを実装した生活支援ロボットASAHIを製作した.このロボットで生活支援の技術を競技形式で競うロボカップ@ホームリーグ(ロボカップジャパンオープン 2015)に出場し,優勝した.
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