平成26年度に得られた結果を基に,平成27年度は継続して研究を遂行した。 高速波長可変光源とDMDモジュールを用いて波長可変照明システムならびに分光画像表示システムの構築を検討した。通常の数倍のフレームレートで高速波長可変光源の分光分布を切り替えしつつ,それに同期してDMDの画面更新を行うことにより,所望の照明光を物体表面に照射することが可能になり,この原理を応用することで高彩色かつ分光的な映像が表示可能になると予測した。まず,物体の表面反射特性を計測するための最適な照明光分光分布の生成技法を開発した。ロットレンズとテレセントリック均一照明ユニットをシステムに組み込むことで照明ムラを軽減した狭帯域照明光群を高速波長可変光源で生成し,分光感度が未知のモノクロカメラに対して高精度で光源の照度の較正を行った。これにより,分光感度が未知のカメラにおいても同様の較正を行うことで計測用カメラとして用いることが可能となった。本研究で使用する高速波長可変光源は短波長の照度が低く,計測精度に影響を及ぼす可能性があると考え,高速性よりは高感度で感度特性のよいカメラを購入し計測カメラとして用いた。つぎに,生成した狭帯域照明光群とDMDモジュールを組み合わせた,波長可変照明システムの構築に取り組んだ。最適な照明光分布の精度改善に現在も取り組んでいるが,単純な狭帯域照明光群による色票計測の結果は非常に良好な結果を得ることができた。波長可変照明システムの最適化を高精度で行うことができれば,この手法はそのまま分光画像表示システムへ応用することも容易であり,高忠実度色再現が期待できる。それゆえ,引き続き研究を継続することを検討している。
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