2006年にShackletonらとStinglらはそれぞれ初めて、移植時に乳腺組織の再構築が可能である細胞集団の単離方法を報告した。しかし乳腺幹細胞の局在はよくわかっておらず、特異的な幹細胞マーカーの同定が必要であった。本研究では、当研究室で作出した多色細胞系譜追跡法を用いて、乳腺組織幹細胞マーカーを探索・同定する方法を開発した。さらに、乳がん自然発症モデルマウスを組み合わせて乳がん発症過程を通して観察し、がん幹細胞マーカーの候補を見出した。この乳腺幹細胞可視化法を用いて解析を進めることで、癌幹細胞の元になる細胞についての知見が深まり、乳癌の発癌メカニズムの解明につながることが期待される。
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