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2014 年度 実施状況報告書

シイタケとブナシメジ由来プロテアーゼの遺伝子解析

研究課題

研究課題/領域番号 26870730
研究機関近畿大学

研究代表者

福田 泰久  近畿大学, 農学部, 講師 (80609602)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードプロテアーゼ / きのこ / 子実体形成 / Lentinula edodes / Hypsizygus marmoreus
研究実績の概要

きのこ類微生物の最大の特徴は、子実体形成という形態的変化であるが、生化学的なメカニズムは未解明である。当研究室では、各種プロテアーゼ阻害剤を用いた実験により、プロテアーゼ群の活性化と不活化が、子実体形成に深くかかわり、形態変化の制御因子として働いていることを報告してきた。Lentinula edodes(シイタケ)は、①菌体外に酸性プロテアーゼ、栄養菌糸中に②酸性プロテアーゼと③メタルプロテアーゼ、子実体中に④酸性プロテアーゼと⑤メタルプロテアーゼ、さらに、子実体の開傘(担子胞子形成時)に誘導される⑥酸性プロテアーゼの計6種類のプロテアーゼを生産し、その詳細な酵素化学的諸性質が報告されている。しかしながら、これらのプロテアーゼ群をコードする塩基配列、アミノ酸配列、また、きのこ生長過程における種々のプロテアーゼ遺伝子の発現時期は未解明であった。
上記に示したプロテアーゼ群の内、①菌体外酸性プロテアーゼの酵素精製およびN末端アミノ酸配列の情報から本酵素遺伝子のクローニングを行った。
酵素反応はヘモグロビン(pH3.0条件下)を基質として、酵素精製を行った。培養液を回収後、硫安分画、各種クロマトグラフィーを用いて、菌体外酸性プロテアーゼを精製した。本酵素のN末端アミノ酸配列を15残基解析したところ、ForestGEN L. edodesゲノムアノテーションシステム上におけるAUGUSTUS01_g3732.t1遺伝子と100%配列が一致した。本遺伝子のアミノ酸配列をBLAST検索したところ、Fomitiporia mediterranea、Leucoagaricus gongylophorus、Galerina marginataなどが由来のendcellulaseと高い相同性を示した。現在、本酵素の詳細な性質を解明するために、本遺伝子の異種遺伝子発現条件を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

【シイタケ由来プロテアーゼ遺伝子群のクローニング】
本年度、シイタケ由来の各種プロテアーゼを精製し、N末端アミノ酸配列の解析を行ったが、菌体外酸性プロテアーゼ以外の配列決定ができなかった。おそらく、これらのタンパクのN末端がブロックされている可能性がある。菌体外酸性プロテアーゼ以外のプロターゼのN末端アミノ酸配列の決定ができなかったため、達成度はやや遅れている。
菌体外酸性プロテアーゼの精製酵素を用いて、N末端アミノ酸配列を15残基解析したところ、T-I-L-Y-A-G-V-N-E-S-G-G-E-F-Gであった。本配列をForestGEN L. edodesゲノムアノテーションシステム上で、相同性検索を行ったところ、AUGUSTUS01_g3732.t1遺伝子と100%配列が一致した。本遺伝子のアミノ酸配列をBLAST検索したところ、Fomitiporia mediterranea、Leucoagaricus gongylophorus、Galerina marginataなどが由来のendcellulaseと高い相同性を示した。現在、本酵素の詳細な性質を解明するために、本遺伝子の大腸菌内、また、Pichia pastoris内での異種遺伝子発現条件を検討している。
【ブナシメジ由来メタロプロテアーゼ遺伝子のクローニング】
ブナシメジ由来の子実体形成期に活性が上昇するメタロプロテアーゼについても、上記のシイタケ由来の各種プロテアーゼ群と同様の理由により、N末端アミノ酸配列の解析がなされなかった。そのため、達成度はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

【シイタケ由来プロテアーゼ遺伝子のクローニング】
いくつかのプロテアーゼの精製酵素をもちいたN末端アミノ酸配列の決定が困難であったため、Lys-Cなどのプロテアーゼ処理による内部アミノ酸配列の決定を行う。また、ForestGENの情報より、目的であるプロテアーゼ群の遺伝子と考えられるものをいくつかピックアップし、遺伝子クローニング後に異種遺伝子発現させてその性質解析を行う。
【ブナシメジ由来メタロプロテアーゼ遺伝子のクローニング】
栽培開始より60日目から110日目に、目的であるメタルプロテアーゼ活性が上昇するため、この期間の菌糸体を採取して、全RNAを抽出する。cDNAクローニングの方法は、上記に示したシイタケと同様の方法を用いる。
【シイタケおよびブナシメジ由来プロテアーゼ群遺伝子の発現解析】
きのこ類微生物の生活環は、①胞子の発芽、②一核菌糸から二核菌糸への細胞融合、③菌糸の生長(菌糸体の形成)、④子実体原基の形成、⑤成熟子実体の形成、⑥胞子の形成というように大きく分けて6つの生育ステージがある。特に③から⑥の各生長段階のシイタケから、全RNAを抽出し、種々のプロテアーゼ遺伝子の発現経時変化を解析する。ポテトデキストロース培地で子実体が発生するまでシイタケを培養し、各生育段階の菌体サンプルを調製する。⑤の成熟子実体では、傘部、柄部、菌糸部に分けて調製する。各サンプルから全RNA抽出、逆転写反応を経て、各プロテアーゼ遺伝子の塩基配列より設計したプライマーを用いてPCRを行う。PCR増幅産物の定量にはリアルタイムPCRにより測定する予定であるが、現在当研究室は、リアルタイムPCR専用装置(サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したもの)を所持していないため、本年度購入予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度、実験計画で支出するための経費として全額使用する予定であったが、発注する物品を、DNAカスタム合成(プライマー)から、ファスマックDNAシーケンスサービスに急遽変更したため、その差額として1,794円の次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額である1,794円は、DNAカスタム合成(プライマー)に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] シイタケ由来菌体外酸性プロテアーゼ遺伝子のクローニング2015

    • 著者名/発表者名
      福田 泰久、岩永 卓也、松下 朋加、寺下 隆夫、白坂 憲章
    • 学会等名
      日本農芸化学会2015年度大会
    • 発表場所
      岡山大学 津島キャンパス(岡山県岡山市北区津島中)
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-29
  • [学会発表] 子実体形成時における各種酵素活性の変化について2014

    • 著者名/発表者名
      福田泰久
    • 学会等名
      日本きのこ学会第18回大会シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学 百周年時計台記念館(京都府京都市左京区北白川追分町)
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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