環境保護を目的とした市民参加制度の1つである環境公益訴訟について、イギリスの裁判所は原告適格を広くとらえ、積極的な提起を認めてきた。しかし、2013年9月にイギリス司法省が司法審査請求制度の原告適格の厳格化を提言したことで、公益訴訟のあり方に大きな影響を与えるおそれが生じた。そのような中、本提案についてNGOや弁護士、裁判官などが大きく反対し、最終的に司法省は原告適格の厳格化を断念した。政府が公益訴訟の提起を広く容認したことにより、団体のみならず個人が提起する環境公益訴訟においても原告適格が否定されることはなくなり、イギリスにおいて環境公益訴訟の利用がさらに促進されるであろうと考えられる。
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