本研究は,日本のタクシー市場における競争を機能させる要因と規制の効果について実証的に明らかしたものである。分析の結果,以下の3点が明らかとなった。 第1に,タクシー事業の全要素生産性を計測したところ,分析対象期間ではTFP成長率がおおむね負であった。第2に,流し営業が主体となる大都市のタクシー事業の経営分析を行った結果,規制政策の変更が経営指標の改善に効果的ではなかったことが明らかとなった。そして第3に,参入規制がタクシー車両数に与えた影響をみたところ,規制緩和および規制強化ともにタクシー車両数の増減に影響を与えたことが明らかとなった。
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