研究課題/領域番号 |
26870735
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
河瀬 諭 相愛大学, その他部局等, 研究員 (90507469)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音楽 / 性格 / 合奏 / 共感 / 社会的スキル / 練習 / アンサンブル / 音楽教育 |
研究実績の概要 |
コミュニケーションスキルを含む、演奏者の個人的特質が音楽演奏に与える影響について検討した。音楽専攻生を対象として、質問紙を用いて調査を行った結果を検討した。実験参加者は、アンサンブル演奏の得手不得手をはじめとする、各種項目に回答した。そのデータと、既存の尺度(性格や共感性、社会的スキル)によって得られた、演奏者の個人的特質に関するデータとの関係を検討した。 第一に、アンサンブル演奏で高い評価を受けている学生は、外向性や協調性、開放性も高いことが示された。また、アンサンブル演奏に対する好みと、勤勉性にも正の相関がみられた。開放性は、アンサンブル演奏の評価とソロ演奏の評価の両方と正の相関がみられた。これらの結果によって、アンサンブル向きの性格があることが明らかになった。一方、先行研究で、アンサンブル演奏と関連があることが指摘されていた、共感性には、関連は見られなかった。 第二に、社会的スキルは、アンサンブル練習中の行動と関係していることが示唆された。また、アンサンブル演奏に対する評価は、練習での2種類の行動と関係していた。すなわち、演奏者どうしが民主的な態度で振舞うか、あるいは、リーダーシップを発揮できるか、の2つである。構造方程式モデリングを用いた分析の結果、社会的スキル、練習での行動、アンサンブル演奏の評価の因果モデルには、妥当性が認められた。これらは、いずれも先行研究で、定性的には指摘されていたものの、本研究では、定量的に明らかにした点に意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた、質問紙調査の検討を行うことができた。成果についても、国際誌や国内誌、国内研究会で発表することができた。調査では、当初の仮説に沿った結果が得られ、順調に研究成果をまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
音楽演奏と、社会的スキルに関する研究について、国際会議での発表や、学会誌への投稿を行う予定である。また、各種のアウトリーチ活動も、積極的に行う。具体的には、ヤマハ音楽研究所のホームページ連載や、大阪音楽大学での公開講座など、本研究成果を社会に還元していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、参加予定の国際会議2件の参加費の支払いを、次年度にしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
参加予定の国際会議2件の参加費として、使用する。くわえて、主に、実験参加者、実験補助者への謝金・人件費として、使用する予定である。
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