研究課題/領域番号 |
26870736
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
松村 幸四郎 阪南大学, 経済学部, 准教授 (50367512)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NPO法人 / 非営利法人 / ガバナンス / 実証 / 株式会社 / 運営管理 / 法規制 / 外部者 |
研究実績の概要 |
1 本課題研究では、事業型NPO法人を対象にその実態把握を進めるとともに、適切な運営管理機構のモデルを模索するものである。NPO法人は広く認知されているのとは裏腹に、運営実態等については情報が少ないため、実態把握そのものが今後の法規制を検討していく上での基礎的資料の確保という意義がある。 2 まず、平成27年度も引き続きNPO法人制度の実態把握を目的としたアンケート項目の策定作業を進めた。その際にこれまでのNPO法人制度をめぐる議論は定性的な情報を基礎としたものに止まりがちであったことから、より一般的な議論を可能とするための定量的な情報を確保するという視点を強く意識して、統計的な処理を可能とするアンケート項目策定を着実に進めている。 このアンケートはNPO法人制度の利用者である法人関係者に対して実施するものに加えて、NPO法人と接触が多い地方公共団体関係者に対しても実施することを想定して作業を進めている。 3 2に加えて、事業型NPO法人に対する法規制を考察するための参考として、過去の法人をめぐる紛争事例の分析作業を進めている。これは事業型NPO法人の運営実態が株式会社に接近するという観点からは株式会社を舞台とした紛争事例から示唆を得られるものと考えられ、またNPO法人は非営利法人という観点からは他の非営利法人をめぐる議論が参考になると考えられるからである。いずれに関してもそれぞれ発生しがちな紛争類型を明らかにするとともに、事業型NPO法人にどこまで当てはまるものなのか、を慎重に検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 これまでの調査で、継続的な運営実態のある事業型NPO法人であっても、事業従事者は日々の活動で手一杯であり短期間に複数回のアンケートを実施することが相当困難であることが明らかとなっている。そのため、数少ないアンケートの機会を最大限に活用するため、アンケート項目をしっかりと絞り込むことが求められる。本研究課題では他大学研究者との意見交換を重ねる中で、計量経済学的な手法が有効であるとの結論に至ったため、アンケート項目をそうした視点から再検討している。 2 事業型NPO法人への法規制を考えるにあたって、他の非営利法人に関するこれまでの議論を参照するとともに、運営実態が営利法人たる株式会社に接近すると仮定すると、株式会社に関するこれまでの議論からも一定の示唆を得られると考えている。これらの諸制度をめぐる法的紛争事例や学説の分析も1と並行して進めている。 3 上記の2点が本研究課題の骨格であり、両者ともいずれおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
1 事業型NPO法人に対するアンケート項目の完成を急ぎながら、アンケート調査を実施しその分析を行う。法人関係者を対象とするアンケートと地方公共団体関係者を対象とするアンケートをそれぞれ実施することを予定している。 2 法人制度をめぐる過去の議論の検証作業を通じて、アンケート項目の策定作業に還元させる作業を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではパイロット調査費を計上していたが、調査対象となるNPO法人の実態から複数回のアンケート調査は負担であり、パイロット調査を行うことなくアンケート実施することになったため、パイロット調査費が使用されなくなった。 さらに打ち合わせにあたって代表者の出張回数が減少したため、旅費の使用が当初計画より減少したことも次年度使用額が生じた理由の一つである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については当初から予定していたアンケート調査費用として使用することを予定している。これにより、さらに多くのサンプルを確保することが出来ると考えている。
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