研究課題/領域番号 |
26870738
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
樋口 友紀 摂南大学, 経営学部, 准教授 (60552065)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 時系列解析 / 予測 / ブランド / 遺伝的アルゴリズム / 棚配置 |
研究実績の概要 |
(1)「店舗における最適商品棚配置問題」本テーマでは最適な商品陳列を遺伝的アルゴリズムにより定式化している。昨年度、選択商品数を増加させるなどより複雑なケースに対応できるようプログラムを改良した。本年度は、改良後のプログラムの精度確認も含め、より様々なケースにおいて検証を行った。具体的には60ロットの商品を重複を許さず、棚数9、段数2に陳列するケースで、販売確率を考慮しながら便益を最大にすることを想定した論文を作成し、国際学会にて発表を行っている。 (2) 「ブランド選択推移構造の分析」今年度、本テーマではブランドバッグを想定したモデルデータによる論文を発表した。また、新規に航空機ブランドにおけるブランド変遷について調査を実施、ブランド変遷が上位シフトすることを確認し、多変量解析を実施。ブランドエクイティ理論をブランドランクに当てはめるなど新たな試みも執り行った。これらの結果を掲載した論文はすでに完成しており、本年度各種論文誌や学会などに投稿予定である。現在、消費者の知覚品質をコレスポンデンス分析によりブランドランク作成に反映させる手法について、航空機ブランドデータを使用して計算を行っている途中である。 (3)「各種予測手法の精度向上、改良」 予測理論部分として①GAによる線形モデルと非線形モデルを組み合わせたトレンド除去手法+最小分散指数平滑化定数を用いた予測、②ニューラルネットワークを用いた予測、の2手法を提案している。本年度は、昨年度に行った旅客データでの予測やARIMAモデルとの比較、②における最適な中間層の数値を分析した論文などを投稿し、掲載となった。また、ARIMAモデルにおけるAICによる次数決定部分でのGA手法適用について、現在計算プログラムを作成中である。 今年度は3月から8月にかけて、産休及び育休を取得したため、研究期間が短くなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)「店舗における最適商品棚配置問題」本テーマでは最適な商品陳列を遺伝的アルゴリズムにより定式化している。昨年度、より複雑な状況にも対応し得るようプログラムを変更した。本年度は、本プログラムを使用して様々なケースにおける検証を行っている。より現実に即したモデルでの検討や、計算時間の短縮化を目標としているが、これらの問題に対する考察は、今後、商品回転率の最大化および販売確率の最大化という2つの目標関数からなる数式モデルを立案し、計算する際にも大きく役立つといえる。 (2)「ブランド選択推移構造の分析」本年度は、新規に航空会社ブランドにおけるブランド変遷について分析を行った。種々の計算結果はすでに論文にまとめており、消費者の知覚品質について、コレスポンデンス分析を用いてブランドランクに反映させる分析を残すのみである。また、集計したデータを判別分析にかけ、新たな知見を見出すなど予定した以上の成果も得られており、計画以上の進展があったものといえる。 (3)「各種予測手法の精度向上、改良」本テーマではこれまでに、提案した①GAによる線形モデルと非線形モデルを組み合わせたトレンド除去手法+最小分散指数平滑化定数を用いた予測、②ニューラルネットワークを用いた予測、③マハラノビス汎距離を用いた指標、を提案している。本年度は、旅客日々データの予測や、ARIMAモデルによる予測との比較結果を掲載した論文を投稿した。また、②における最適な中間層の数値を分析した論文について、学会報告を行った。これらの結果は様々なデータでの時系列予測において、その性質を把握するのに十分役立つ。また、④AICを用いた最適次数によるARIMAモデルでの予測、についてAIC次数決定部分へのGA手法適用を含んだプログラムを構築中であるが、完成後は各種データでの検証および論文化を予定しており、おおむね計画通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「店舗における最適商品棚配置問題」今後は、過年度に作成した新たなプログラムを用い、幅広いロット数への対応や計算時間の短縮化など、より現実に対応したモデルでの検証を実施する。また、引き続き実店舗における理論検証ケースを増やしてゆく。最終目標は、商品回転率の最大化および販売確率の最大化、という2つの目標関数からなる数式モデルを立案することであり、これについては今後実施予定である。 (2)「ブランド選択推移構造の分析」現在、消費者の知覚品質をコレスポンデンス分析によりブランドランク作成に反映させる方法について、計算を実施している。終了次第、この結果を論文にまとめ、投稿を予定している。また、すでに完成している航空機ブランドデータについての各種論文も、順次発表してゆく。今後は、これらのデータを2次以上の購買データを用いた行列モデルや、これまでに提案してきた複数のモデルに適応し、比較検討を予定している。可能であれば、他のブランドジャンルにおけるブランドシフトについても検討を行ってゆきたい。 (3)「各種予測手法の精度向上、改良」①GAによる線形モデルと非線形モデルを組み合わせたトレンド除去手法+最小分散指数平滑化定数を用いた予測、②ニューラルネットワークを用いた予測、③マハラノビス汎距離を用いた指標、について、今後はさらに事例検証と比較を深める。また、④AICを用いた最適次数によるARIMAモデルでの予測、についてAIC次数決定部分へのGA手法適用を含め、プログラムおよび予測手法を完成させる。また、②における中間層の最適数値導出について、他データを用いてより検証を深める予定である。データを累積した時系列を対象に、間歇データ予測の実施も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は出産に伴い、産前産後休暇および育児休暇を取得した。子供も小さく、宿泊を伴う学会発表などへの参加を見送った。結果として、旅費の使用額などに変更が生じている。次年度は国内学会および国際学会APIEMS2018(香港にて開催)などの国際学会への出席を予定しているため、旅費が必要となる。また、その他研究に必要となる書籍や消耗品の購入も予定している。
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