研究課題/領域番号 |
26870741
|
研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
林 幸史 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (10567621)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 観光写真調査法 / 観光地の魅力 / 観光経験 / 経県値 / 観光心理学 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本人旅行者、外国人旅行者、地元居住者が撮影した写真の分析を通して観光地の魅力を明らかにすること、そして新しい調査手法としての観光写真調査法を確立することの2点を目的としている。平成27年度の研究成果は、観光地の魅力認知に関するweb調査を実施したことと、歴史観光地である奈良市において観光写真調査を実施したことの2点に集約される。 web調査は、観光地の魅力認知と個人の経県値(旅行履歴)との関連を明らかにすることを目的として行った。調査対象者は仙台・東京・名古屋・福岡に居住する20歳~79歳の男女600名であった。主な質問内容は、6都県(青森・東京・石川・奈良・高知・鹿児島)のイメージと魅力度についてであった。調査の結果、①経県値による比較では、訪問経県者・全国経県者の方が観光地に固有なイメージ特性を高く評価する傾向にあること、②訪問経県者は未訪問者に比して魅力度を高く評価する傾向があること、③全国経県が少ない人は地理的な遠さによって魅力が低減することが明らかになった。 奈良市での観光写真調査では、魅力的な観光資源が何であるのかを明らかにすることと、訪問経県の違いによって魅力を感じる対象はどのように異なるのかを明らかにすることを目的とした。調査対象者は、日本人旅行者25名、外国人旅行者50名、地元居住者7名の計82名であった。調査の結果、日本人とアジア系旅行者は鹿、自然、風景、消費に関する写真が多い一方、欧米人は寺院建築、仏像、オブジェの写真が多いことが分かった。また、訪問経県を積むことによって被写体は全景からモノへと移行していくことも示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度を上記のように評価した理由は、次の通りである。奈良市で実施した観光写真調査では、日本人旅行者と外国人旅行者の両者がどのような対象を通して観光地の魅力を評価しているのかということや、出身国や過去の訪問経験回数の相違によって、魅力を感じる対象がどのように異なるのかを明らかにできたからである。また、前年度から実施を持ち越していた観光地の魅力に関するweb調査を実施できたことも順調な達成度の評価につながっている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度までで概ね確立できた観光写真調査法の手続きによって都市観光地を訪れた日本人旅行者、外国人旅行者を主な調査対象として観光写真調査を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも調査協力者が少なくなり、謝礼の予算が余ったことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の調査協力者の謝礼予算とする。
|