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2015 年度 実施状況報告書

骨髄間質細胞によるグリア細胞機能調節を介した脊髄再生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26870744
研究機関藍野大学

研究代表者

兼清 健志  藍野大学, 再生医療研究所, 講師 (20525399)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経再生 / アストロサイト / 脈絡叢上皮細胞 / グリア / 骨髄間質細胞 / 脊髄損傷
研究実績の概要

前年度の研究から、種々のグリア細胞に骨髄間質細胞の培養上清を添加することで、アストロサイトが最も増殖能や活性化に影響を受けることが分かったので、今年度はアストロサイトについて詳細な解析を行った他、脈絡叢上皮細胞の神経再生効果をin vivoで検討した。
まず、骨髄間質細胞の培養上清添加することで変動する、アストロサイトが発現する因子を明らかにするために、DNA microarrayによる解析を行った。パスウェイ解析の結果、いくつかのパスウェイで複数の遺伝子が有意に変動していることが分かった。中でも、エストロゲンの生合成に関わる遺伝子の発現が増加していた。エストロゲンは、女性ホルモンのはたらきの他に、神経の新生や再生を促すことが報告されている。骨髄間質細胞の移植や培養上清の投与で神経再生が促進されるメカニズムの一つとして、損傷部周辺のアストロサイトによるエストロゲンの発現の上昇が寄与している可能性が示唆された。それを明らかにするために、現在、骨髄間質細胞の培養上清添加によるエストロゲンの分泌の変動を解析している。今後は、in vivoで骨髄間質細胞の培養上清を投与した脊損モデルラットのアストロサイトによるエストロゲンの発現の変化を解析する予定である。
一方で、脳脊髄液を産生し中枢神経系の維持に重要であるグリア細胞の一つである脈絡叢上皮細胞については、炎症条件下で骨髄間質細胞と共培養することによりNGFなどの栄養因子の発現が誘導されることを明らかにしてきた。そこで、脈絡叢上皮細胞が炎症時に神経再生を促すかどうかを明らかにするために、脊髄損傷モデルラットの損傷部に脈絡叢上皮細胞を移植して、神経再生効果を検討した結果、脈絡叢上皮細胞を移植した群では、BBBスコア評価による行動の回復がみられた他、損傷部の再生神経の密度が高いことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨髄間質細胞の影響でアストロサイトにおいて遺伝子レベルで変動する神経再生関連因子が分かった。
別のグリア細胞ではin vivoでの効果を確認できた。

今後の研究の推進方策

(1) 骨髄間質細胞の培養上清を添加した培養系で、アストロサイトによる目的物質分泌の変動を定量する。
(2) 脊髄損傷モデルラットに骨髄間質細胞を移植した時に上記のような変化が起きているのかを検証する。
(3) 骨髄間質細胞を移植せずに目的物質の分泌を誘導するか、その物質自身を投与することでの神経再生を試みる。

次年度使用額が生じた理由

前年度の結果からグリア細胞のターゲットを絞ったことにより、培地や培地添加物等の培養関連試薬が抑えられたのが主な理由である。

次年度使用額の使用計画

主に培地中に放出されるエストロゲン関連分子を直接定量するための試薬やin vivoでそれらの発現を解析するための抗体を購入することに使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Transplantation of choroid plexus epithelial cells into contusion-injured spinal cord of rats.2016

    • 著者名/発表者名
      Kenji Kanekiyo, Norihiko Nakano, Tohru Noda, Yoshihiro Yamada, Yoshihisa Suzuki, Masayoshi Ohta, Atsushi Yokota, Masanori Fukushima, Chizuka Ide.
    • 雑誌名

      Restor Neuro Neurosci,

      巻: 1 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Commentary: Are the long-term survival, proliferation, and differentiation of transplanted cells desirable in clinical application for spinal cord injury?2016

    • 著者名/発表者名
      Kenji Kanekiyo, Norihiko Nakano, Yoshihiro Yamada, Masahiro Tamachi, Masayoshi Ohta, Suzuki Yoshihisa, Chizuka Ide.
    • 雑誌名

      Aino Journal,

      巻: 14 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] Locomotor improvement of spinal cord-injured rats through body weight support treadmill training by plantar placement of hind paws on the floor.2015

    • 著者名/発表者名
      Hayashibe M, Homma T, Fujimoto K, Oi T, Yagi N, Kashihara M, Nishikawa N, Ishizumi Y, Abe S, Hashimoto H, Kanekiyo K, Ide C, Morioka S.
    • 雑誌名

      Spinal Cord

      巻: 186 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1038/sec.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NTAK/Neuregulin-2 secreted by astrocytes promotes survival and neurite outgrowth via ErbB3.2015

    • 著者名/発表者名
      Norihiko Nakano, Kenji Kanekiyo, Takatoshi Nakagawa, Michio Asahi, and Chizuka Ide.
    • 雑誌名

      Neurosci Lett.

      巻: 1 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] Transplantation of choroid plexus epithelial cells into contusion-injured spinal cord of rats2016

    • 著者名/発表者名
      兼清健志、中野法彦、本間玲実、野田亨、井出千束
    • 学会等名
      第121回日本解剖学会全国学術集会(一般社団法人 日本解剖学会)
    • 発表場所
      福島
    • 年月日
      2016-03-27 – 2016-03-30
  • [学会発表] 脊髄損傷モデルラットにおける脈絡叢上皮細胞移植による神経再生効果2016

    • 著者名/発表者名
      兼清健志、中野法彦、本間玲実、野田亨、井出千束
    • 学会等名
      第15回日本再生医療学会総会(一般社団法人 日本再生医療学会)
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-03-17 – 2016-03-19
  • [学会発表] 脊髄損傷モデルラットに対する脈絡叢上皮細胞移植効果2015

    • 著者名/発表者名
      兼清健志、中野法彦、本間玲実、野田亨、井出千束
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会(公益社団法人 日本生化学会))
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 脊髄損傷ラットへの脈絡叢上皮細胞移植効果2015

    • 著者名/発表者名
      兼清健志、中野法彦、本間玲実、野田亨、井出千束
    • 学会等名
      第56回日本組織細胞化学会総会・学術集会(日本組織細胞化学会)
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-04
  • [学会発表] Therapeutic effect of choroid plexus epithelial cell transplantation on spinal cord injury2015

    • 著者名/発表者名
      兼清健志、中野法彦、野田亨、井出千束:
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会(日本神経科学学会)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31

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公開日: 2017-01-06  

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