立位姿勢に対する外乱として有効な視覚刺激方法を確立し、周期的床振動時における視覚刺激の提示が、姿勢制御様式および感覚情報処理に及ぼす影響について検討した。視覚刺激の回転角度が大きいほど、また、回転速度が遅いほど、自己運動錯覚が生じ、姿勢応答が生じるものと考えられた。床振動時に視運動刺激を提示した場合、若年者では顕著な変化が見られなかったのに対し、高齢者では姿勢動揺の増大が観察された。加えて、高齢者では、視覚刺激時点の事象関連電位の振幅が大きく、視運動刺激に対する注意が増大する傾向がみられた。これらの結果は、高齢者における多感覚再重みづけ能力の低下を表すものと推察された。
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