研究実績の概要 |
本研究における今年度の目標は2014年度に構築したデータベースを元に論文執筆を行い,その成果を発表することであった。本研究では有価証券報告書に記載される定性情報のなかでも「経営成績,財政状態およびキャッシュフローの分析 (MD&A)」の部分について,現時点で2004年3月期から2014年12月期までの東証一部上場企業(全18,503サンプル)のデータベース化を行った。そしてこのデータを用い,MD&A情報のボイラープレート化を定量的に測定することを目的としたBoilerplate MD&A Disclosure Levels and Firm Characteristicsを執筆中である。引き続き執筆中であるが,2016年8月に米国ニューヨークで開催されたAmerican Accounting Association Annual Meeting in New Yorkにおいて口頭発表を行った。コンカレントセッションにて発表し,ディスカッサントから有意義なコメントをいただくことができた。また本研究に関連した研究である『継続企業の前提に関する注記の情報量と株主資本コスト』について,2016年9月に静岡県静岡市にて開催された日本会計研究学会第75回大会の自由論題報告にて口頭発表を行った。同論文では,継続企業の前提に関する注記の情報量が株主資本コストに与える影響を実証的に分析した。これについても参加者からの質問を受け,新たなアイデアを得ることができた。また,本研究に関連した論文である「 SEC基準採用企業のMD&A情報と株式市場の反応」が日本ディスクロージャー研究学会の学会誌である『年報 経営ディスクロージャー研究』へ掲載された。同論文ではMD&A情報を分析対象に、文字数・文章数および株式市場からの反応について分析を行った。
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