本研究の目的は有価証券報告書に記載される定性情報を分析対象とし,その開示実態や経済効果を実証的に検証することであった。分析対象は東証一部上場企業とし,分析期間は2004年3月期から2014年12月期までとした。分析に用いた定性情報は有価証券報告書の事業の状況に記載される「財政状態,経営成績およびキャッシュフローの分析(MD&A)」である。分析の結果,日本企業の開示しているMD&A情報は開示量は平均値でみた場合には大きく変化していないが,最大値は2012年をピークに低下する傾向にあるということが明らかになった。またMD&A情報を用いたスコアと業績予想などとの関連が明らかになった。
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