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2014 年度 実施状況報告書

マスト細胞の分化におけるIgEの作用 ~細菌易感染の機序解明を目指して~

研究課題

研究課題/領域番号 26870757
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

阪中 麻利子  武庫川女子大学, 薬学部, 助教 (00425109)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードIgE / マスト細胞 / 分化 / TNF-alpha
研究実績の概要

高親和性IgE受容体を発現するマスト細胞は、様々な免疫応答で重要な働きを担っている。マスト細胞は骨髄に由来し、前駆細胞として循環血に移行し、浸潤した組織において最終的な分化を遂げる。そのためマスト細胞の分化は、骨髄・血中・組織の微小環境に影響を受けると考えられる。これまで、マスト細胞の分化に与えるIgEの影響を調べることができる有用な培養ツールの構築を目指し、常時IgEを加えてマウス骨髄から分化させた新しい初代培養マスト細胞、高IgE培養マスト細胞を確立することに成功している。さらにこの細胞において、グラム陰性細菌構成成分であるリポ多糖(LPS)刺激に対するTNF-αの産生が著しく低下していることを見出している。
本年度は、自身が確立した高IgE培養マスト細胞を用いて、分化とその過程での機能獲得面にどのような変化がおこっているか詳細に解析した。その結果から、マスト細胞の分化過程におけるIgEの存在は、その性質や刺激応答性に影響を与えうることが強く推察され、IgEクローンによりその作用が異なることが示唆された。IgEの産生レベルだけではなくそのプロフィールもマスト細胞の分化と機能の制御に重要な因子である可能性を実験的に示した報告は初めてのものであり、高IgE血症の病態形成を理解する上での重要な知見である。また、高IgE血症を呈するモデル動物の確立に成功したため、申請者が構築した高IgE培養マスト細胞を足がかりに、細胞レベルと個体レベルの両方から明らかにすることが可能な状況となっている。
本研究結果は、専門性の高い学会において発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画した研究項目の中では、想定以上に進捗したものと、予想よりは遅れているものがあるが、全体として見た場合はおおむね順調であると判断している。
高IgE培養マスト細胞を用いた解析結果から、マスト細胞の分化過程におけるIgEの存在は、その性質や刺激応答性に影響を与えうることが強く推察された。また、IgEクローンによりその作用が異なることが示唆された。高IgE血症の病態形成を理解する上では、IgEの産生レベルだけではなくそのプロフィールも重要な因子である可能性が考えられた。
また、高IgE血症を呈するモデル動物を作製することに成功したため、組織マスト細胞の解析を進めている。現在、サイトカイン産生能の解析を進めているが、必要なマスト細胞数を確保する過程において実験上の工夫が必要であることが判明したため、今後の検討課題である。

今後の研究の推進方策

当初の計画に従い、進捗の遅れている項目に重点をおいて研究を推進する。
1)高IgE血症を呈するモデル動物のマスト細胞を用いて、サイトカイン産生能を測定する。
2)マスト細胞の性質の変化が個体レベルでの細菌排除応答にどのように寄与しているのかを解明する。

次年度使用額が生じた理由

これまでの研究成果をまとめるにあたり、in vivo実験での研究を継続と最終的な論文発表のため一部予算を繰り越した。

次年度使用額の使用計画

計画通り消耗品費を中心に研究費を使用する予定である。

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公開日: 2016-06-01  

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