研究実績の概要 |
本研究では、(a)インフルエンザウイルスに対する細胞性免疫の測定方法を開発、(b)インフルエンザワクチンの接種に伴う免疫学的効果、(c)インフルエンザに対する免疫学的評価方法の確立を目的とした。 まず、インフルエンザウイルスの細胞性免疫の測定方法の開発のため、本研究への協力に同意していただいたインフルエンザワクチン接種予定の基礎疾患のない本学職員より採血を行い、全血とインフルエンザ抗原3種(H1N1,H3N2,B)それぞれと反応させ、抗原量や培養時間の設定を行った。しかし、平成27年度にはインフルエンザワクチンに含まれる抗原が4種{H1N1,H3N2、B(山形系)、B(ビクトリア系)}となり抗原量も変わったため、細胞性免疫を測定する際に必要な抗原量を、平成27年度のワクチン抗原により再設定を行い平成26年度とほぼ同じ条件で可能なことが分かった。以上により、インフルエンザウイルスに対する細胞性免疫の測定方法を開発した。 平成28年度は、平成26年度、平成27年度の検体の処理を行った後、ワクチン接種による細胞性免疫、液性免疫の変化とインフルエンザ感染者との関連を評価した。 抗体に関しては、本研究におけるインフルエンザA(H3N2)感染者ではワクチン接種前からインフルエンザA(H3N2)のHAI抗体価が40以上であり、ワクチン接種による個々の免疫を評価することは出来なかった。次に、細胞性免疫に関しては、インフルエンザ感染者ではワクチン接種後に細胞性免疫の増強が認められなかった。そのため、ワクチンの免疫学的効果に細胞性免疫による評価が有効である可能性が示唆された。
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