本研究は、保育士・教員養成校におけるピアノ学習者が「イメージ・トレーニング」によって効率的にピアノ演奏技術を習得するピアノ教授法を構築するための基礎的研究であった。その際「イメージ・トレーニング」とは、楽譜を見ながら頭の中でピアノの鍵盤、指の動き、音を想像することとした。 これまで「イメージ・トレーニング」した場合が「ピアノを弾いて練習」した場合と比較して、演奏向上の効果がどの程度あったかを調べてきた。そして、「イメージ・トレーニング」では、リズムの改善が難しいことがわかった。そこで、リズムを習得する方法として「音符の言語化」を提案し、実践した。その結果、ピアノがない環境下でも、リズム習得の可能性が示唆された。また、模範演奏を学習支援システム(LMS)上で提示する試みでは、指使いを参考にしているという結果も得られたことから、頭の中で指を動かす「イメージ」への効果が期待できるとも考えられた。 今年度(最終年度)は、これまで予備調査をしてきた結果をもとに、実験デザインを一新し、保育士・教員養成校のピアノ学習者を対象とした「イメージ・トレーニング」の効果を検証するための実験を行った。また、前年度に行った実践についての発表を行った。 保育士・教員養成校のピアノ学習者がピアノのない環境下で、楽譜のみで「イメージ」することは難しい。しかし、本研究では、楽譜上の「リズム」を習得することができれば、「イメージ・トレーニング」の効果を高められるという可能性を見出し得た。
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