研究課題
本研究では、脳小血管病(Cerebral small vessel disease)による脳卒中、特に虚血性脳血管障害の関連因子を調査している。今年度に実施した先行研究として、既存の脳卒中レジストリから発症早期の初発ラクナ梗塞患者152名を抽出し、そのデータを解析した。その結果、入院時の腎機能障害は独立した予後規定因子であることを見出し、国内学会(第39回日本脳卒中学会総会)と国際学会(International Stroke Conference 2014)で発表し、論文にまとめた(Crerebrovasc Dis EXTRA 2014:4:174-181)。同じ患者コホートを用いて脳微小出血(Cerebral microbleeds)の関連因子についての解析をまとめ、国内学会(第39回日本脳卒中学会総会)で発表した。また、ラクナ梗塞と血圧脈波検査との関連を既存の脳卒中レジストリを用いて解析し、論文にまとめた(Hypertens Res 2015;38:323-328)免疫学的手法を用いた研究としては、次に記載した研究課題を実施中である。平成25年4月からの1年間で、川崎医科大学附属病院に入院した初発の急性期脳卒中患者のうち、脳小血管病に関連する脳卒中患者を連続登録した。研究の対象となる患者(もしくは患者の家族)に同意を得て、入院時の血漿と入院約1-2週間後の血漿を凍結保存した。ELISA法を実施するための環境を整備した。保存した凍結血漿を用いて、高感度CRP、インターロイキン6などの各種バイオマーカーをELISA法で順次測定した。2015年3月末までに、合計85名の患者の検体を測定した。今後は、測定した検査値と頭部MRI画像や病態との関連を検討していく方針である。
2: おおむね順調に進展している
先行研究も、学会発表、論文作成が順調にできている。また、ELISAに関する実験環境も順調に調整でき、実際のELISA解析もおおむね予定通り遂行できた。
得られたデータを各種の臨床情報(MRI画像などの患者の臨床的特徴)とあわせて解析し、研究を継続していきたい。
保存凍結血漿をELISA法で処理しましたが、研究に関連する医局の協力もあって実験助手の人件費を計上せずに研究を遂行できています。
次年度使用額は、平成27年度請求額とあわせ、ELISA法の実験に必要な消耗品の購入、人件費、旅費などに使用する予定です。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Hypertens Res
巻: 38 ページ: 323-328
doi: 10.1038/hr.2015.8
Cerebrovasc Dis EXTRA
巻: 4 ページ: 174-181
doi: 10.1159/000365565.