研究実績の概要 |
本研究は、脳小血管病(Cerebral small vessel disease)の発症機序解明につながるバイオマーカーの探索や脳血管障害との関連を解析している。 平成27年度は、平成26年度に引き続き脳小血管病に関する先行研究を継続し、その成果を英語論文として発表した(Saji N, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2015)。研究会(第13回関西中部認知症研究会)で概要を口頭発表した。 また、先行研究から得られた知見やバイオマーカー測定実験で得られたデータを整理し、その関連を体系化すべく理論構築に努めた。その結果、当該研究のテーマである脈波亢進による脳実質障害のメカニズムは、「津波効果(tsunami effect)」として理論的に可視化できた。そして、バイオマーカー測定実験のデータを整理し、見出された知見を論文化すべく、機序の解明と理論の確立を第一目標にして研究をすすめた。脳小血管病と脈波検査との関連をまとめ、Review論文として出版した(Saji N, et al. Pulse. 2015)。 また、脳小血管病と認知機能障害、特に血管性認知症や老年症候群との関連について既報告を渉猟し、2編の英語論文(Saji N, Ogama N, et al. Geriatr Gerontol Int. 2015; Ogama N, Saji N, et al. Geriatr Gerontol Int. 2015)と2編の和文総説論文(佐治ら. 日本臨牀 認知症と類縁疾患. 2016; 佐治ら. 血圧. 2016)にまとめた。その他、研究成果から得られたアイデアを活かして短報として投稿し、Lancet Neurologyに採択された。 平成28年度は、本研究のまとめとして、体系化した理論を基盤にしてバイオマーカー測定実験から得られた知見を解析し、本研究の主論文を作成する。
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