研究課題/領域番号 |
26870770
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
久保 貴紀 安田女子大学, 薬学部, 助教 (90435751)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | siRNA / 遺伝子発現抑制 / デリバリー / コンジュゲート |
研究実績の概要 |
RNA干渉法の臨床への応用には多くの克服すべき課題がある。本研究では、複数のがん関連遺伝子を標的とした脂質コンジュゲートsiRNAを用い、担がんマウスにおける相乗的な抗腫瘍効果を評価している。つまり、in vivoでの安定で活性の高いRNA干渉効果を申請者が開発した脂質コンジュゲートsiRNAで達成し、臨床での応用を目指した基礎研究を行うことが本研究の目的である。そのために、担がんマウスを使用してLipid-si27RNAの抗腫瘍効果を評価する必要がある。そこで、ルシフェラーゼを発現するがん細胞をヌードマウスに移植したモデルマウスを作製した。また、このルシフェラーゼを発現する担がんマウスに対し、Lipid-si27RNAを全身に投与した。実験は主にIVISを用いて非侵襲的かつ経時的・効率的に腫瘍のルシフェラーゼ発光を測定することにより評価した。標的遺伝子は、がん細胞で多く発現し、腫瘍の増殖・進展・転移に関係するVEGFとβ-カテニンを選択した。 計画した具体的な研究項目は大きく以下の2つである。 ①1つの遺伝子を標的としたときのLipid-si27RNAの抗腫瘍効果。 ②2つの遺伝子を同時に標的としたときのLipid-si27RNAの相乗的な抗腫瘍効果。 平成26年度は上記①の研究を主に行った。その結果、Lipid-si27RNAがin vivoでVEGFまたはβ-カテニン遺伝子をノックダウンし腫瘍の増殖を強く抑制することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下の2つの研究項目を計画した。 ①1つの遺伝子を標的としたときのLipid-si27RNAの抗腫瘍効果。 ②2つの遺伝子を同時に標的としたときのLipid-si27RNAの相乗的な抗腫瘍効果。 平成26年度は①を行い、また、平成27年度は②を行う予定にしている。 平成26年度の研究において①に挙げた項目をおおむね遂行している。すなわち、本研究で合成したLipid-si27RNAは本研究の標的であるVEGFもしくはβ-カテニン遺伝子をin vivoにおいて強くノックダウンし、優れた抗腫瘍効果を発揮したことを確認した。 そのため、平成26年度の研究は当初の計画通りに順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究は当初の計画通り順調に進展しているので、平成27年度についても当初の研究計画を遂行する予定である。 すなわち、「②2つの遺伝子を同時に標的としたときのLipid-si27RNAの相乗的な抗腫瘍効果。」を検討する。具体的に、VEGF遺伝子およびβ-カテニン遺伝子を標的とした2つのC16-si27RNAを併用し、この2つの遺伝子を同時に標的とすることにより相乗的な抗腫瘍効果を期待する。細胞は平成26年度の研究同様HT29Luc細胞を用い、肝臓に形成された腫瘍に対して全身投与を行う。投与方法、スケジュールは平成26年度の研究と同様である。IVISによるルシフェラーゼ発光を経時的に計測して腫瘍の増殖・進展・転移の有無を確認する。最終的には腫瘍から細胞を抽出し、細胞レベルでのVEGFおよびβ-カテニン発現の評価を行う。
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