研究課題
RNA干渉(RNAi)法は標的遺伝子を強くノックダウンできるため、がん等の難治性疾患の治療に期待されている。しかし、RNAi法の臨床への応用には多くの克服すべき課題がある。本研究では、強いRNAi効果を示す脂質コンジュゲートsiRNA(Lipid-siRNAs)を用い、複数のがん関連遺伝子を標的とすることで、担がんマウスにおける相乗的な抗腫瘍効果を評価した。つまり、in vivoでの安定で活性の高いRNAi効果を本研究で開発したLipid-siRNAsで達成し、臨床での応用を目指した基礎研究を行った。これまでの研究結果を基に、がん細胞において活発に発現している血管内皮細胞増殖因子(VEGF)とβ-カテニン(β-CAT)の2つのがん関連遺伝子を標的とし、Lipid-siRNAsによる相乗的な遺伝子発現抑制効果(抗腫瘍効果)を担がんマウスを用いて評価した。実験は、ルシフェラーゼ遺伝子を発現できる大腸癌由来の細胞(HT29Luc)を門脈から移植し、肝臓に形成された腫瘍を標的としてLipid-siRNAsを導入剤と共にマウス尾静脈から導入した。まず、VEGFもしくはβ-CATの1つの遺伝子をそれぞれ標的とした場合について検討し、つぎにVEGFおよびβ-CATの2つの遺伝子を同時に標的とした場合について検討した。その結果、Lipid-siRNAsは無処理群に比べ、肝臓に形成された腫瘍の増大を抑制した。また、その効果は、単独の遺伝子を標的とするよりもVEGFとβ-CATの2つの遺伝子を同時に標的とした方が強い抗腫瘍効果が確認できた。これらの結果は、Lipid-siRNAsがin vivoでも強いRNA干渉反応を発揮でき医療応用の可能性を広げるものである。
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