研究実績の概要 |
本研究は,ミドルリーダーにあたる主任層の教員やコーディネーターとしての役割を持つ教員やトップリーダーである校長が学校教育現場における知の共有を促進するために発揮するリーダーシップの構造を明らかにすることを目的とした。リーダーの行動のみに焦点を当てるのではなく,リーダーとフォロワーとの相互作用に着目し,その中でも,トップリーダーとミドルリーダーの関連性,ミドルリーダーとフォロワーとの関連性,トップリーダーから間接的に及ぼされるフォロワーへの影響を明らかにすることが特徴である。 初年度からチーム・リーダーシップに関する先行研究を収集し,その内容を整理した。具体的には,ミドルリーダーが発揮するリーダーシップ,さらにはチームメンバーが共有する知識(メンタルモデル)や,別々の知識を分担しながら,必要に応じて他のメンバーの専門的な知識を活用する交流記憶に関する研究を中心に,本研究につながる知見を整理した。 これと並行して,学校教育現場において求められる主任層の教員が教員集団に共有すべきと考える知識,また,より専門的で,ケースごとにチームメンバーが変わることがあるチームを運営しなければならない教育相談や特別支援教育のコーディネーターがチームメンバーで共有すべきと考える知識について,基礎的な調査を実施した。 そこから,ミドルリーダーが発揮するリーダーシップと共有すべき知識との関連を検討するための量的調査,さらに,校長がミドルリーダーに及ぼす影響についても調査を実施する予定であったが,産・育児休暇を間に挟んだこと,さらには所属先の変更等が重なったことから,調査対象者との都合が折り合わず,最終年度内に調査実施のめどがつかなかった。そのため期間後も,調査を継続し,成果を報告する予定である。
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