研究課題/領域番号 |
26870776
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研究機関 | 聖カタリナ大学 |
研究代表者 |
長尾 由希子 聖カタリナ大学, その他部局等, 准教授 (00570821)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 専攻 / 複線型専門職 / 性別職域分離 / 進路選択 / 学校種 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
申請者は「国家資格に基づき、複数の学校種が養成に関わる職業」群を、「複線型専門職」という新たな概念で捉え、研究報告を行ってきた。具体的には、栄養士、看護師、幼稚園教諭、理学療法士などの職種である。このような職種に従事する人々は、国勢調査による単純な試算でも1975年から2010年には3.2倍に増加している。そして「複線型専門職」の多くは、従来圧倒的に女性が多かったが、実数は少ないものの男性従事者の比率が急伸している。 近年、保育士や看護師など一部の男性労働者の研究は徐々になされている。しかし、職場の課題や職務遂行などを事例列挙的に扱うものが多く、志望段階からキャリア形成過程までを検討する研究は十分ではない。また、これらの職種に従事する男性は現時点でマイノリティであり、SSMやJGSSなどの既存データにおいては、ほぼ捕捉できない。そのため、申請者は調査対象を男性がマイノリティである「複線型専門職」に絞り、なおかつこうした職種を包括的に対象とし、男女協働や進路形成における共通課題を検討することで、理論的・実践的な知見を得ることを企図した。 初年度はただちに量的調査を実施することを検討していたが、職種横断的な質問紙の設計に時間がかかり、また、現実的な調査体制に課題が見えてきた。各専門職について名簿や性別の就労先リストなどが整備されているわけではないため、従来携わってきた調査実施方法とも異なり、手探りで検討した。検討段階で、当初予定していた首都圏での調査は調査実施体制と予算を鑑みると非現実的であると判断、愛媛での調査に専念することにし、先行調査研究の確認と調査票準備に1年を費やした。調査票の設計には時間がかかったが、その分、先行の調査・研究にあまり例がないオリジナリティが高いものを作ることができた。完成した上で、同年度内には学内研究倫理委員会の実施許可を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の項で述べたように、調査票の設計に時間がかかったため、計画変更が生じた。また、調査を数百の機関・施設経由で個人への配布を依頼して行なうことにしたため、それらの機関・施設が繁忙ではない時期に実施し、回収率向上を図りたいと考えた。円滑な調査実施のため、愛媛県庁に調査票を送付する上での協力をお願いするタイミングも、先方の繁忙期を外したいと考えた。そのため、新年度のある程度落ち着いた時期以降に実施することにした。結果的に、概ね1年遅らせての調査実施となりつつある。現在は、具体的な送付先リストの完成に向けた詰めの段階である。送付候補先の機関・施設のリストは、まとまったものが存在するわけではないため、散在している情報を関係各位の協力も得ながら、組み合わせて整備している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
迅速に送付先リストを完成させ、機関・施設に送付・依頼する。また、発送し調査票の返却を待つ間に、先行研究の整理を行なう。今後、研究計画や作業等に変更が生じた場合にも、柔軟な対応ができるように、適宜状況確認や代案の検討等を行いながら取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
量的調査を実施する時期を遅らせたため、当初調査に使用する予定であった金額が余り、繰り越しを行う。当該年度は、統計ソフトや文献資料などを購入するために支出を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
量的調査の実施と、質的調査の設計を行なう。可能であれば、質的調査にも着手する。並行して先行研究の整理・分析から論文を執筆する。
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