研究実績の概要 |
従来は女性の多かった国家資格の専門職(看護師、保育士、介護福祉士など)で働く労働者を主な対象とし、施設経由での郵送調査を中心に、部分的に雪だるま式サンプリングを併用して質問紙調査を実施した。愛媛県を中心に約1,200人の回答を得た。なお、比較対象のため、女性が多かったわけではない医療職種や国家資格外の職種も含んでいる。データ解釈の参考にするため、一部インタビュー調査も実施した。 愛媛県内の施設等を対象に調査を進めたが、調査開始後、特に幼稚園教諭および保育士について、男性現職票が少ないという課題がみられた。そこでデータ数確保のため、両職種のみ、他県においても追加調査を実施した。なお、男性保育職で回答が少ないということ自体、調査への不信感のみならず孤立感等があると推察され、知見のひとつとして認識する必要があると思われる。 データの分析については、愛媛県内のデータをいったん回収した時点での調査データ(第一弾)をもとに分析し、学会報告を行った。その内容を記すと、自身の職種に関する専門性の認識について性別・職種別に違いを検討したところ、看護師男性、幼・保育職男性、介護福祉士男性は自身に「力」が求められていると認識しており、介護福祉士男性と幼・保育職女性では笑顔を求められているという認識について有意差がみられた。また、専門職内で専門性得点や勤続意向に学歴差はないこと、説明力は低いが男性でトイレや更衣室などの施設整備、女性で産休育休のとれる雰囲気について勤続意向にプラスの働きがあることが窺えた。追加したデータも含めた分析および自由記述の分析、分析の論文化と学術的な媒体への投稿、調査結果をわかりやすくまとめたパンフレット(PDF)の作成等は助成期間終了後になるが、速やかにまとめ、関係部署に知見を還元させていただきたいと思う。
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