研究課題/領域番号 |
26870777
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
松本 悠貴 久留米大学, 医学部, 助教 (60647783)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 3DSS / 3次元型睡眠尺度 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
1. 3次元型睡眠尺度(3 Dimensional Sleep Scale -3DSS-)の確立 労働者の睡眠状態の把握のために使用する睡眠尺度3DSSの信頼性・妥当性を検証した論文が掲載受理され、睡眠評価の科学的指標として3DSSが使用可能となった。24時間型社会となり特に若年者において睡眠の不規則・夜型化が問題となっているが、こうした位相の問題にまで網羅してある睡眠尺度は存在せず、現代人特有の睡眠の問題まできちんと評価が可能となったという点では意義があると言って良い。なお、この論文は産業衛生学雑誌の2014年度優秀論文賞に選出された。カットオフ値に関する論文も2015年の5月に掲載受理が確定している。 2. 3DSSの結果出力システムの開発とフィードバック効果の検証 3DSSを用いた睡眠評価の結果出力システムを開発し、被験者それぞれへの結果表の返却を2回行い、睡眠状態の変換を解析することでフィードバック効果を検証している。 3. 労働者における睡眠状態とメンタルヘルス問題との関連性 自己評価式抑うつ尺度(SDS)で測定した抑うつ度の強さ別に対象者を分けて3DSS得点を比較し、抑うつ度の高い者では睡眠の位相・質・量すべてにおいて有意に不良であることが明らかとなった。また、SDS内にある希死念慮に関する設問を用いて、睡眠パターン別の希死念慮オッズ比についても解析を行い、不良な睡眠パターンの者ほど希死念慮オッズ比が増加することも明らかとなった。前者の結果については国内の学会、後者の結果については国際学会にて報告している。現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究で使用する予定だった睡眠尺度の信頼性・妥当性およびカットオフ値に関する論文が学術雑誌に掲載受理され、その実用性・応用性についても解析が終了し学会にて報告した。現在は睡眠と精神の健康状態、事故の発生状況、介入効果などについて引き続き解析を行っている。データは取得済みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は3DSSを使い対象者を8つの睡眠パターンに分けた解析を行っていく予定である。上記に挙げた精神の健康状態、事故の発生状況、介入効果などに加えて、健康診断結果とも照らし合わせながら身体の健康問題についても詳しく調査していく。健康診断結果のデータについてはまだ取得できていないが、事業所からの同意は既に得られている。
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次年度使用額が生じた理由 |
事業所の協力により健康診断結果の使用が可能となり、血液検査の実施が不要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
書籍、より速やか・効率的に介入研究を行うための人件費その他、研究に関連した睡眠の測定機器等について使用計画を立てている。
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