研究課題
再生医療用3次元細胞構造体を作製するための細胞凝集塊について,形状特性について解明することを目的に,以下の実験を遂行した.細胞凝集塊の培養を始めてからの日数,細胞数,細胞の継代数で比較するために細胞凝集塊形態評価システムを開発し,作製される細胞凝集塊の定量評価を行える環境を整えた.次に,研究計画に従い,細胞凝集塊を形成する適切な細胞数を特定するため,正常ウサギ間葉系幹細胞を用いて細胞凝集塊を作製し,専門の技能員による肉眼的評価や円形度などの形状の定量的評価を行った.細胞凝集塊は細胞数が多すぎると円形度は低く,時間が経過しても円形度は変化しないことを確認することができた.細胞数が最適な範囲であれば,一定期間は円形度を増しながら小さくなっていくことを確認することができた.培養経験のない研究員と技術技能員ともに最適な細胞数の範囲は同様であったが,両者が作製した細胞凝集塊の大きさや円形度には差が生じており,技術的要因が関係していると推察された.したがって,技術技能員が行っている細胞懸濁液の攪拌や細胞播種の動作を参考にしたモーションをCell Processing Robotに組込み,細胞凝集塊形成システムを開発した.開発したシステムを用いることで,クロスコンタミネーションを起こさずに細胞数が最適な範囲で細胞凝集塊を作製することができた.開発したシステムで作製した細胞凝集塊は,技術技能員が作製した細胞凝集塊と同様に時間経過に伴う細胞の凝集が確認された.円形度については,開発したシステムが作製した細胞凝集塊の方が,時間経過に伴い安定して高い円形度を有していることが確認された.これは,細胞にダメージを与えないモーションで細胞凝集塊を作製したからだと考えられた.したがって,細胞凝集塊を得るためには,最適な細胞数で作製することの他に,細胞にダメージを与えないようにすることが重要であると考えられた.
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