研究課題/領域番号 |
26870789
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研究機関 | 福岡女学院大学 |
研究代表者 |
田中 英資 福岡女学院大学, 人文学部, 准教授 (00610073)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文化遺産 / トルコ / 観光開発 / 発掘 / 保存修復 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、5月の日本文化人類学会において、前年度の調査結果を基にした研究報告を行った。また、8月と10月に現地調査を実施した。11月以降は、集めてきた資料を見直しつつ、平成28年度に行われる国際学会への応募等を進めた。 8月の現地調査では、昨年度訪問したパターラとキビラにおいて、発掘調査隊や現地の人びとに対する聞き取りを継続した。聞き取りのなかで、特にパターラでは村の成り立ちについて聞き取りを始めた。しかし、特にこうした事情に詳しいとされる人物には先方の都合で会うことができず、平成28年度の調査課題として残った。キビラ遺跡では、発掘現場と出土品の修復現場を見学させてもらい、発掘・出土物の修復の過程を参与観察するなかで、作業員として雇用されている地元の人びとが、作業を通して遺跡や遺物に対する関心を高めてきていることが明らかになった。この2か所に加えて、昨年度調査できなかったミラ遺跡のあるデムレを訪問した。ただし、今年度はデムレでは「リキア博物館」の開館や海底に沈んでいる都市遺跡をめぐるボートツアーの実施状況などミラや周辺の遺跡の観光資源化が進んでいる現況を確認することが主となった。 10月の調査では、古代に「リキア」と呼ばれていたアンタルヤ県からムーラ県の海岸沿いにつくられたトレッキングルート「リキアの道」に関する調査を行った。特に、実際に「リキアの道」を歩いてみるフィールド調査を行った。加えて、このルートの開拓を行なってきた英国人女性に聞き取りを行い、ルート管理のあり方や問題点について確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去2年間にわたって実施してきた調査を通して、現地関係者とのコンタクトが増えつつあり、そうしたコンタクトからさらに人間関係を拡げることができつつある。特に調査地の地元の人びとに顔を覚えてもらえ、協力を得られやすい状況になっている。28年度に実施する現地調査はスムーズに進めていけると考えている。また、現地調査でのデータの集積によって研究成果を発表する準備も進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、最終年度である。過去2年の調査内容をふまえつつ、8月までに研究のまとめができるように調査の足りない部分を洗い出し、8月に実施予定の現地調査でその補足をする。特に、27年度の現地調査で十分にデータを集められなかったパターラ村の成り立ちや周辺地域との関係などについてデータを集めるほか、トレッキングツアーや、ミラ遺跡周辺での調査を継続し、データの集積に努める。 なお、直近数か月トルコ国内の情勢は、隣国シリアの内戦の影響を受けて不安定化していることは否定できない。首都アンカラやイスタンブルでも無差別テロ事件が多発している。調査地は情勢の緊迫している地域からは離れており、現地の知人からの連絡を聞く限りでは安定している様子であるが、28年度に現地調査を実施するにあたっては、細心の注意を払い、安全を重視する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度はトルコにおいて2回の調査旅行を実施したが、シリア情勢の影響もあり、トルコの経済状況が悪化している。そのため、トルコリラが当初の試算よりも安くなったこともあり、旅費やトルコで収集した資料の日本への送料を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は現地調査を1回実施するほか、平成28年6月にカナダで行われる国際学会での発表準備を進めており、その国際学会参加で生じる旅費や参加費に充てる予定である。
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