課題研究の最終年度である平成28年度に、文検體操科の研究に関する資料収集を行い論文にまとめて行く予定であったが、同年4月14日夜、16日未明に起きた2回の震度6強の熊本地震により、研究室の破損や資料散乱が生じた。また、地震による学生対応や地域住民の為の大学での避難所運営等、予期せぬ業務が重なり研究の進捗スピードを落とさざるを得なかった。このため、事業期間を1年延長し、平成28年度の計画をほぼ平成29年度に行うこととなった。したがって、平成29年度、研究の最終年度は、これまで収集してきた資料を整理し研究をまとめ論文作成を行うことであった。しかしながら、昨年度地震により研究を一時的に中断せざるを得なかったため、論文完成にはもうしばし時間が必要である。平成30年度においても、これまで収集してきた資料を基に論文作成を行い、急ぎ論文完成をし、平成31年度の学会等において発表等につなげていくべく計画している。 これまで本研究は、「文検」體操科の全体像を明らかにすることを目的とし、制度の開始(1885=明治18年)から終焉(1949=昭和24年)までの全期間を対象に、「文検」體操科の制度、試験委員、試験問題、受験者等について解明しようとするものであった。成果として、「文検」體操科の試験問題の分析は終了し、また受験雑誌掲載の合格体験記による受験者の勉強方法や心得、受験動機、受験にあたっての困難等を明らかにすることができた。さらに、一部であるが、受験記から見ることができる中等及び初等體操科の実態も分析できた。これらは、当時の教員の資質向上等にもつながる生の言説を明らかにすることであり、今日においても、その資質向上の取り組みは、教員養成等に参考に値する意義あることであり重要な視点であると考える。よって、事業期間終了後も引き続き研究を重ね、申請時の研究計画を達成できるように真摯に進めていきたい。
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