離島・都市部・農村部に住む虚弱高齢者の生活機能の変化について調査した。研究1年目(平成26年度)においては、3地域に在住する虚弱高齢者の選定方法と測定尺度について、先行研究ならびに大学院の指導教授よりスーパーバイズを受けながら、科学的で的確な方法を検討した結果、要支援認定を受けた65歳以上の高齢者を対象に老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of competence 以下、TMIG-IC)と2014年に開発された科学技術振興機構版活動能力指標(Japan Science and Technology Agency Index of competence 以下、JST-IC)の2つの活動能力指標で測定することを決定した。研究2年目(平成27年度)および研究3年目(平成28年度)においては、3地域にある地域包括支援センターの調査協力を得て、要支援高齢者を対象に2つの活動能力指標を用いて、生活機能の実際を測定した。研究2年目(平成27年度)における調査時点では、約800名近い要支援高齢者に対して調査を実施することができた。しかしながら、研究3年目(平成28年度)における追跡調査では約180名程度と追跡できた調査対象者は少ない状況であった。背景には、調査対象者の要介護度が進行したこと、入院、引越し、死亡などの調査対象者の生活の変化があったほか、地域包括支援センターに対し、国策として新たな総合事業が導入された影響による調査時間の確保の難しさが挙げられた。虚弱高齢者の生活機能の特徴として、都市部在住の要支援高齢者は最も高く、次に農村部在住の要支援高齢者が高く、離島在住の要支援高齢者の活動能力は最も低いことが明らかとなった。
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