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2017 年度 実施状況報告書

障害者のきょうだいによる自己の語りとその受けとめ-将来の生き方に向けた支援の探究

研究課題

研究課題/領域番号 26870799
研究機関湘北短期大学

研究代表者

沖潮 満里子  湘北短期大学, その他部局等, 専任講師 (30707310)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2021-03-31
キーワード障害者のきょうだい / 質的研究 / 自己エスノグラフィ / 対話的なインタビュー / 自己開示
研究実績の概要

本研究は、障害者を兄弟姉妹にもつ人(以下、きょうだい)が、きょうだいであることをどのように周囲に開示し、経験を語るのかを当事者の語りから明らかにした上で、将来の生き方に関するきょうだいとその家族支援のあり方を検討することを目的とする。
今年度は、きょうだいの自己開示や自己関する思いや経験を探索する研究を中心に、インタビュー調査を行なった。まだ1名にしか調査ができていないが、重要な知見を得ることができた。1名に対するインタビューデータを分析したところ、下記のような結果が得られた。
パートナーに障害のある兄弟姉妹のことを伝える経験は、お互いの間にこれまで話題に上ることはなかった「障害者」や「差別」というセンシティブなテーマがぐっと浮かび上がる瞬間となる。それと同時に,自分自身が障害者を差別する側の障害のある兄弟姉妹の存在を消してきた健常者でもあり,遺伝することを疑われるなど,差別される障害者側の人でもあるという二重性を意識させられる,自分自身の立場の脆弱性が露呈される痛みを伴う経験にもなる。
一方で,これまで存在を隠し,あたかもいないように振る舞ってきた障害のある兄弟姉妹,そして自分自身のことも肯定する転機ともなる。パートナー以外の重要な他者に伝え,受け止められるという嬉しい経験を積み重ね,そしてパートナーとの将来をより良いものにしていきたいという気持ちがある時に,乗り越えていくひとつの発達課題として,きょうだいにとって立ちはだかるものでもある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予定では、研究2は約7名のきょうだいを対象にインタビュー調査を行なう予定であったが、1名にしか実施することができなかった。
その一方、国際学会での発表等、研究の公表についてはおおむね予定通りである。

今後の研究の推進方策

引き続き、研究2の「きょうだいの自己開示や自己語りに関する思いや経験の研究」において、インタビュー調査を実施する。それと並行し、研究3の「パートナーの受けとめに関する研究」にも着手していく。

次年度使用額が生じた理由

昨年度に引き続き、今年度はH29年7月31日まで研究中断をしており、H29年8月1日から再開したため、数ヶ月分研究費を使用していない時期があった。
H30年度も再び研究を中断するが、H31年度に再開し、残りの研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Living with Double Life Stories: In-depth Conversations between Siblings of People with Disabilities2017

    • 著者名/発表者名
      Mariko OKISHIO
    • 学会等名
      (25th International Conference on Social Science and Humanities
    • 国際学会
  • [学会発表] 当事者とその周囲の関係をこわし・つくる 精神科デイケア通所者、トランスジェンダー者、自閉症スペクトラム者の妻から(シンポジウム指定討論)2017

    • 著者名/発表者名
      沖潮満里子
    • 学会等名
      日本質的心理学会 第14回大会
  • [図書] アジアの質的心理学2018

    • 著者名/発表者名
      伊藤 哲司、呉 宣児、沖潮 満里子
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779512766
  • [図書] 博士になったらどう生きる?2017

    • 著者名/発表者名
      栗田佳代子、吉田塁、堀内多恵
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585230564

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公開日: 2018-12-17  

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