研究課題/領域番号 |
26870801
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研究機関 | 三重短期大学 |
研究代表者 |
阿部 稚里 三重短期大学, その他部局等, 准教授 (10351214)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養素摂取量 / 食品摂取量 / 成人女性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はポピュレーションアプローチの一環として食教育を行う際、性別、年代、その他の属性や理解度によって重点的に行うべき情報提供や説明項目を明らかにすることである。今年度は成人前期を調査対象とした。食生活には季節変動がみられるため、対象者を4-5月(春)、7-8月(夏)、10-11月(秋)、12-1月(冬)の4回に分けて調査を行ったところ、全体での配布数は179名、同意した回収数は124名、同意した回収率は69.3%だった。簡易型食事歴法質問票BDHQより算出された99種類の栄養素のうち、22種類の栄養素と総エネルギー摂取量を解析に用いた。食事調査については、不同意6名及び摂取エネルギーの過小過大評価者(600kcal未満または4,000kcal以上)だった4名を除いた女性103名を対象とした(有効回答率57.5%)。季節間で差が見られた、あるいは差が見られる傾向があった項目は、摂取エネルギー(冬>秋)、タンパク質(春>秋)、ナトリウム(春<秋、夏<秋)、カリウム(夏<秋)、βカロテン当量(春<秋)、ビタミンB1(春<秋、夏<秋)、ナイアシン(春<秋、夏<秋)、ビタミンB6(春<秋、夏<秋)、食塩相当量(春<秋、夏<秋)、肉類(春<秋、冬、夏<秋)、菓子類(春>冬、夏>冬)、非アルコール性飲料(春>冬)だった。以上の結果から、今年度は成人前期女性における栄養素および食品摂取の季節間の違いを示唆した。次年度以降も調査を行い、今年度の結果が一般化できるかどうか検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通り、成人前期女性を対象に食事調査を行うことができた。当初は男性も解析対象としていたが、参加人数が少数だったため女性のみ解析対象とした。次年度以降、男性の参加率を上げることが課題である。今年度の調査結果のデータ解析もほぼ終わり、結果をまとめることもできた。なお、研究者本人の妊娠に伴う産前休暇を約1か月間取得したため、一部のデータ解析や関連論文の探索が行えず、本年度の結果を深く考察することができなかった部分もある。次年度以降、関連論文と照らし合わせ、本年度の研究成果をさらに考察して学会報告等行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、成人前期だけでなく壮年期も対象とし、食事バランスガイドを用いた食事評価と簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食品・栄養素摂取量の把握から、対象者の食生活の実態と間違えやすい料理区分を明らかにする。以上の結果から、性別、年代、食事バランスガイドの理解度などの属性と上記の項目の関連を考察する。一方、本年度回収した結果を返却し、その結果を元に対象者が食生活を改善する調査は、回収数49名であり、配布数に対する回収率は27.4%に過ぎなかった。対象者が食や栄養に興味があるとは限らないため、2回の調査票提出は負担に感じるのかもしれない。次年度以降は、1回の調査票提出で済むような対策を取る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、研究者本人の妊娠・出産に伴う産前産後休暇・育児休業の取得によって約10ヵ月間研究を休止したため、本年度が本研究のほぼ初年度にあたり、昨年度の研究成果はほぼない。そのため、今年度は申請していた研究成果報告のための旅費が執行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は、この繰り越しの助成金と本来の助成金を合わせて研究を遂行する予定である。具体的には、研究成果発表のための旅費や簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食事調査を行うためのBDHQシステム一式の費用に使用する。また、次年度以降は対象者が倍になるため、結果の入力に係る人件費、結果の印刷に使用するコピー用紙、封筒等の消耗品費、郵送費も本年度のほぼ倍必要になると見込まれる。
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