研究課題/領域番号 |
26870804
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研究機関 | 就実短期大学 |
研究代表者 |
鎌田 雅史 就実短期大学, その他部局等, 講師 (10610040)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 組織市民行動 / 学校組織 / 教員集団 / 組織開発 / 文脈的業績 |
研究実績の概要 |
平成26年度の主な研究計画は、本研究の中心的な概念である『組織市民行動(Organizational Citizenship Beahvior)』を、学校組織研究の枠組みの中でどのように捉えるか検討することであった。また、平成27年度に計画している質問紙調査のための項目抽出と操作的定義の検討であった。 学校組織は、官僚的な組織特徴と専門職集団としての組織特徴が複合的に共存する特有の構造を持っている。また、全般的に、功利性よりも教育活動の価値観を重要視する規範的組織特徴が色濃い。このような組織特徴にあって、教師の職務は広範にわたり、教師の職域の「やらなければいけない」境界線は曖昧かつ、膨大である。実際に、ほとんどの教員は多種多様の主体的な学校貢献を任意に実践しており、その多くはOrgan(1996)が、『公式的な報酬体系には基づかない自由裁量の行動であり、それが集積することによって組織の有効性が促進されるもの』と定義した『組織市民行動』に該当する。学校組織の有効性を維持・向上していくうえで、これらの組織貢献は重要であるが、これまでの学校の伝統として『教師であれば、行うべき行動』と受け取られる傾向が強く、看過されてきた傾向が認められる。 平成26年度は、教員による組織市民行動の実態把握を目的とした、自由記述式アンケート調査の分析を行った。その結果、多くの教員が『組織市民行動』を実施している実態が改めて認められ、195名に対する調査で述べ1017項目(箇条書き、重複を含む)の項目群が抽出された。併せて、先行研究の展望による演繹的な項目収集も行った。平成27年度実施予定の調査で使用するための測定項目の素案について、224名の教員に対し、予備調査を実施し(8月と12月)、現在、組織市民行動の測定項目の選定と尺度の精緻化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においては、当初の計画通り、『教員による組織市民行動』の概念について、教員固有の特徴を踏まえつつ文献研究を行い、研究課題の明確化を試みた。さらに、平成26年度以前に、現職の学校教員195名を対象に収集した自由記述式アンケートについて、データを分析することによって、平成27年度に予定している調査のための基礎研究を行った。詳細については、所属研究機関である就実大学・就実短期大学が発刊する研究集録『就実論叢』に報告している。また、9月に東洋大学にて開催された日本グループ・ダイナミックス学会において、中間発表を行い、今後の研究の方向性に関する示唆を受けた。特に、教師の多忙性が再三取り上げられるように、全力で頑張る教員ほど燃え尽きてしまうような現状がある中で、『組織市民行動』をどのように捉えるべきなのかといった課題は、非常に深刻であると思われる。 また、平成26年度には2度にわたる予備調査を実施し、214名の現職教員からの回答を得ている(8月(102名)、12月(112名))。この調査については、現在分析中であり、詳細について、平成27年度に論文や、学会発表といった形で報告予定である。 以上のような取り組みによって新たな課題も浮き彫りになり、平成27年度の調査実施に向けて徐々に準備が整いつつあり、着実に研究は漸進している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(平成27年度)は、現職教員に対する質問紙調査の本格実施を計画している。具体的な研究目標は、①教員による組織市民行動が生起する際の個人内のプロセスについて検討すること、②組織市民行動と教員の職能発達との関連性について検討を行うこと、③教員による組織市民行動の規定因としての、学校組織的要因(グループポテンシーや、組織風土)についての検討を行うことの3点である。 調査実施については、本年度研究代表者が講師を務める予定の教員対象の講習での協力を得る予定であるが、さらに多くの調査協力者を募る必要があり、何名かの学校管理職教員や、研究代表者が非常勤講師として講義を行っている教職大学院への協力要請を検討している。 また、平成26年度に行った予備調査については、平成27年度の関連学会(10月に奈良大学開催予定の62回グループ・ダイナミックス学会 等)で経過報告を行う予定である。定期的に研究報告を行い議論を重ねることで、研究の改善に努めたい。同時に、年度末には研究論文として、成果報告と課題の再検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、研究室の備品や資料を充実させ研究体制を整えることができた。研究活動の作業効率を高め、研究を深めるために有効利用することができたと考える。全予算(60万円)のうち、99%以上は執行したが、296円は執行しきれず次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し金となった296円、次年度の請求予算50万円は、関連学会の経費および旅費、研究資料収集、および必要な消耗品の充当に充てる。また、質問紙調査のデータ入力と資料整理を円滑化するために使用する計画である。引き続き適性な使用に勤めていきたい。
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